ボルゾイ虐待死の控訴審の結果 | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

最新のドッグトレーニングと犬猫に関する情報
動物保護のお話など

 

みなさんはこの事件を覚えているでしょうか?

(事件の内容は後半に書いてあります)

 

第一審で地方裁判所はこの非道なブリーダーに対し「相当強い暴行を振るった上、衰弱した犬にチューブで流動食を与えようとした際、誤って窒息死させた。死因について十分な説明がされず、原告の受けた精神的苦痛は大きい」として賠償命令判決を下しました。

 

それを不服としたブリーダー側は控訴したのですがその判決が1月に下りました。


内容は第一審とほぼ変わらず、

「動物の愛護及び管理に関する法律第2条1項、2項について動物取扱業者である控訴人(ブリーダー側)は被控訴人ら(ヴァロンくんの飼い主さん夫妻)に対して不法行為責任を負う」というものでした。

 

さらにヴァロンくんの背部から右側腹にあったアザに関しても、『控訴人が故意に暴行を加えたものと推認するのが相当』とされ、
気管分岐部内にあったドロ状の食渣についても『強制給仕によって発生したと推認できる』と判決文には書かれていました。

このように控訴審の判決も地裁での第一審判決に沿った内容になっており、更に控訴人(ブリーダー)の主張に対して虚偽と言わざるを得ない内容であると指摘していました。

 

 

 

 

動物虐待死事件に関して日本では告訴しても大抵は証拠不十分で責任追求できないことが多かったのですが、この事件の判決は非常に革新的だったと言えるでしょう。

 

人間に対する虐待や殺害に関しては『法医学』という分野の医師が調べ、被害者が亡くなっている場合は細かに検死して報告書を作成し、それが裁判での判断材料になります。

 

しかし日本においてその動物版とも言える『法獣医学』という分野は遅れていて、法獣医学者を名乗る人は数える程度しかいません。

 

しかしヴァロンくんの飼い主さんご夫婦は第二第三のヴァロンくんのような犠牲者が出ないように法獣医学者の先生を見つけ出し『意見書』を作成してもらったのです。

 

意見書には一般の獣医師では見つけ出し分析し明確に判断できないような物証を法的な判断に足る形で提示してあったので裁判所は確信を持って判決を下すことができたわけです。

 

今後皆さんやお知り合いで動物の家族を預けたら遺体で帰ってきたなどという悲劇があった場合、とりあえずは動物病院で冷凍保存してもらい法獣医学者の先生に検死してもらうという選択肢があることを覚えておいてください。

 

ヴァロンくんは戻ってきませんが、
この判例が「どうせ飼い主は泣き寝入りするだろうし、証拠不十分で終わるだろう」とたかを括っている動物虐待者に対する抑止力になるよう願っています。

 

多くの人々の目に止まってほしい判決です!

 

動物を虐待し殺傷した者が相応の報いを受ける世の中にするためにも...

 

 

以下は昨年8月の第一審判決の時の記事です...

 

2019年7月のことです...

 

交配のために貸してくれとお里の犬舎から頼まれ、

雄のボルゾイ ヴァロン君をそのブリーダーに預けたところ、

数日後食事を食べたがらないと連絡があり、

飼い主さんが返して欲しいと何度頼んでも返してもらえません。

 

一週間以上食餌を摂ろうとせず痩せていったヴァロンくんを獣医師にもみせず、飼い主さんに返すことも拒否したそのブリーダーはその後突然ヴァロン君が死んだという通知をしてきました。

 

連絡を受けて動転しながらも秋田から車で引き取りに向かい、埼玉との中間の福島の安達太良サービスエリアで待ち合わせると、

前歯を外側にへし折られ胃の中は空っぽで身体にいくつもアザができて亡くなってるヴァロン君を返されました。

 

「起きたらこうなっていた。 死因は分からない」と言い張り何の謝罪もしないそのブリーダーに疑惑を感じながらもとにかく死体を保冷し警察官立ち合いのもと動物病院でレントゲンとり、死亡診断書を書いてもらった飼い主さんはその死がブリーダーによる虐待が原因である可能性が高いことに確信を持ちました。

 

その後SNSで(ブリーダーの名前は伏せて)この事件を発信した飼い主さんに対し、

多くの人がそのブリーダーを非難しましたがその犬舎から子犬を購入した人たちや突然多数湧いて出た謎の即席アカウントが、ブリーダーを擁護した上で飼い主さん夫婦を誹謗中傷するようになりました。

 

飼い主さんは警察に通報し警察からの協力依頼で司法解剖もしました。

また警察の指導でSNSでの言い争いも止めてくれるよう発信なさいました。

 

そしてこの解剖結果が後に大きな決め手となったのです...

 

 

飼い主さんは弁護士に相談してブリーダーを起訴しました。

そして2年かかりましたが数日前に判決が下ったのです。

 

 

 

賠償金はスズメの涙ですが、大切なのは裁判所がこの非道なブリーダーに対し

「相当強い暴行を振るった上、衰弱した犬にチューブで流動食を与えようとした際、誤って窒息死させた。死因について十分な説明がされず、原告の受けた精神的苦痛は大きい」と判決を出したことです。

 

読売新聞には賠償額は66万と書いてありますが、

どちらにせよ飼い主さんにとっては精神的苦痛の賠償にはならないでしょうね...😞

 

 

ちなみに飼い主さんが警察の依頼で検死解剖を行った時の被告ブリーダーのブログには、

悪びれもせずこんなことが書かれていました。

 

今はブログを非公開にしていますが...

 

 

 

解剖の結果虐待の事実は掴めていたのでしょうが、裁判が控えていたので飼い主さんは公開しなかったのに、

被告ブリーダーは解剖結果をSNSで発表しないということは虐待が立証できなかったのだと

高を括ったんでしょうね。

 

ちなみに交配というものは普通メス犬をオス犬の家庭に預けて行います。

オス犬が自分のテリトリーではない場所に連れて行かれると神経質になって交尾をしたがらないことが多いからです。

 

ヴァロンくんの飼い主さんはブリーダーに気を遣って、ブリーダー宅の他のボルゾイ2頭を預かってあげていました。

 

ヴァロンくんが亡くなった後、預かっていた犬たちも日常的にひどい仕打ちを受けているかもと思うと心配で返却すべきかどうか悩みましたが、返さないと逆に訴えられるので返したところそのうち子犬だった1頭が亡くなったようです...

 

 

 

今回のことで思いましたが、

もしも訓練士の預託やサロンなどで愛犬を殺されてしまった場合も

すぐに保冷し警察立ち合いのもとで獣医師に検死してもらい、その診断書を元に警察で鑑定をしてもらわなければいけませんね。

 

その時は真摯に対応するような顔をしていても、裁判となると自分に不利な証言はしないでしょうから証拠は裁判時に信用度の高い方法で確保しておく必要があります。

 

人間と違い動物が暴行傷害を受けてもその行為を立証するのはとても難しいですし、

警察もなかなか動いてはくれませんから。

 

 

実は今回の判決は警察による解剖結果(鑑定書)に加え、法獣医学の勉強をしている先生に依頼して作成した意見書という裁判所としては信用に足る報告書があったからこそ出たものであり一般の獣医師の診断書では決定力に欠けたでしょう。

 

この法獣医学については別の機会にお話ししようと思います...

 

さて、裁判所が出した判決は被告ブリーダーがヴァロン君に対して行った残酷な虐待行為の真偽の確認と飼い主さんに対する賠償だけですが、

当該ブリーダーが営業停止にならないことや動物愛護法違反で逮捕されないことは釈然としません。

 

SNSで飼い主さんを誹謗・中傷した行為も本来なら裁かれるべきだと私は思います。

 

亡くなったヴァロン君の冥福をお祈りいたします🙏😞

 

 

 

ヴァロンくんが亡くなって戻ってきたときの映像。

ショッキングな映像なので血が苦手な方は見ないでください...↓

 

          ↓

 

          ↓

 

          ↓

 

          ↓

 

          ↓