一般の飼い主さんがドッグトレーナーに期待することってなんでしょう?
吠える、咬む、いたずらする、散歩で引っ張る、トイレで排泄できないなどの
『問題行動』を直して欲しい...
犬を飼い主が飼いやすいよう躾けて欲しい,,,
つまり犬の行動を変えて欲しいということでしょうか?
多くの飼い主さんはドッグトレーナーに
「うちの犬を従順に変えて欲しい」
「うちの犬の行動を手っ取り早く変えるにはどうしたらいいか?」
と相談してきます。
きっとライフハックのようにこうしたらテキメンに犬が変貌する方法があるんじゃないかと思っているのでしょう。
目を輝かせて秘訣を聞いてきます。
ですから以前お話しした『天罰方式』(リンクはこちら)などという
なんの天罰にもなっていない方法で「吠えが直りますよ」とか、
『愛情遮断法』(リンクはこちら)などという残酷な方法で、
「飼い主に対する反抗心がなくなりますよ」などと言われると
すぐ飛びついて試してみます。
犬の専門家が言っているのだから間違いないだろうなどと高を括って、
なぜそれに効果があるのかという理由や、
それによって犬の脳や心にどのようなダメージがあるのかなどは考えもしません。
そもそも教えている脳味噌まで筋肉でできていそうな訓練士が犬の脳神経のことまで気を配れるとも思えませんが...
犬は人間より劣る存在なのだから、飼ってもらう限り人間に完全服従すべきだ。
人間に迷惑をかけないようなんでもいうことを聞く犬になるべきだ。
飼い主さんの多くは(内心)そんな先入観に満ちていて、
自分がなにか面倒なことを学んだりやらなければいけないと知ると、とたんに不機嫌になります。
そういうバイアスに満ちた飼い主さんにとって、恐怖や苦痛を使って犬の行動を変えようという提案は実に受け入れやすいものです。
それを何回かやることで犬が吠えなくなったり、ブラシなどの手入れ中に咬んだりしなくなるならお安い御用とばかりに、大きな音で脅かしたり、チョークチェーンで首を締めたり、監禁&無視を言われた通り忠実にこなします。
まぁ、それらの方法が(一見)効いたように見えることも多いですし、嫌悪刺激が強ければ強いほど短期間で変化が現れるので、
飼い主さんとしてはモチベーションが上がり、叱る頻度も増え、声も体罰もエスカレートしていきます。
それが自分と犬の間に『主従関係』を築いて、
自分を絶対的なボス(リーダー)だと認識させる唯一の方法だと言われ、正しいことのように思い込まされて...
気がつけばあなたは犬にとって『怖くて嫌なやつ』です
昔は違ったかもしれませんが、
今の人々が犬と暮らそうと思ったきっかけは番犬でもなければ猟犬にするためでもなく、
家族の一員になってもらうためですよね?
決して自分専用の奴隷が欲しかったわけではないでしょう...
そんな家族を常に怒鳴ったり叩いたり脅かしたりしながら生活するのって、
異常だと思いませんか?
じゃあ、どうすればいいのよ!? ですか...
まずは自分や環境を変えることで
問題行動(人間からみてそう感じるだけなのですが)を
減らすことができるかどうか、
その原因を調べることです。
例えば、家の前を犬が通るたびに吠えるのをやめさせたければ、
ガラス窓にすりガラスや模様の入ったシールを貼ってみるとか、
外で人の声や犬の声が聞こえると吠えるのであればサッシ隙間テープを貼って防音率を上げる。
ゴミ箱を漁って困るのであれば、家中のゴミ箱を犬が開けられないタイプの蓋が付いているゴミ箱に変える。
ブラシや歯磨きを嫌がって咬むと言うなら、
ハズバンダリートレーニングのセミナーに参加して、
どのように慣らしていけば犬が自分から進んで
ブラッシングや歯磨きをしてほしがるようになるかを
学んでみてはいかがでしょう?
なにより犬についてもっと勉強しましょうよ!
本当に犬が好きなら犬の使っているボディ ランゲージや、
どうして犬たちが吠えたり咬んだりしなくちゃいけなくなったかを
学んでみたくなりませんか?
「そんな面倒なことに手間とお金を使ってやってられるわけないじゃない!」
「だからドッグトレーナーを雇ったのになんでサッサと犬をしつけられないのよ!」
って思う人も多いと思いますよ。
今はまだ...
だから私はドッグトレーナーとして開業する気にならなかったわけです。
手っ取り早く犬を変えるなんて、
自分が納得できない方法を人に教えることなんてできませんから...😮💨
シニアになってきたら楽に食べられるよう、
できるだけの配慮をしましょう↓