お宅のわんこのこんな行動 | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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みなさんは犬の行動について、

なんで突然、今の状況にそぐわないこんなことするんだろうと思ったことがありませんか?

 

動物行動学用語で相反する衝動が拮抗して、

葛藤状態(ストレス状況)に陥ったときに現れる行動を、

転位(てんい)行動と言います。

 

その状況にふさわしくない(意味のない)行動を思わず行ってしまうことです。

 

人間が困った時になんの関係もなく頭を掻いたり、

犬が興奮するとぐるぐる回り尻尾を追いかけるなども

転位行動と言えるでしょう。

 

長い時間留守番させておくと普段はしないようなイタズラをするとか、

家具を掻きむしった跡があるなども、長い留守番がストレスとなって、

転位行動を行なったのかもしれません。

 

実はカーミングシグナルを出すのもこの転位行動のひとつなんです。

 

初対面の犬などと出会って感じたストレスを地面の匂いを嗅いでみたり、

口の周りを舐めてみたり、クジラ目をしてみたりと、

今の状況とは関係のない行動をしてしまうんですね。

 

 

似た言葉で転嫁(てんか)行動というものがあるのですが、

これは、「行動の方向が、本来の対象から外れ、

適切ではない別の標的に向かってしまうこと」を指します。

 

例えば、2頭の犬がうなり合って険悪な状況の時、

別の犬(または人)が仲裁に割って入ったら、

なんの関係もなくその犬(人)が咬まれることも転嫁行動です。

 

(鬼越トマホークの『ケンカの仲裁に入ったら関係ないのに傷付けられる』ネタみたいなものです...)

 

 

 

転位行動の中にもイライラすると物にあたるという行動はあるのですが、

そういった状況下での転嫁と転位の違いは、

「行動の対象が同様な種かそうでないか」です。

 

(自分や物にあたるのであれば転位、別の犬や人に何かするのであれば転嫁)です。

 

 

私たち飼い主が気を付けなけれないけないのは、

これらの行動の原因となっているストレスに気づいて、

状況に応じて取り去ってやることです。

 

単発的に出る転位行動はそれほど気にすることはありませんが、

これが日常的、継続的に行われる場合は常同行動(常同障害)と言い、

常にストレスが溜まっていて犬が精神的に限界な状態に陥っている可能性があります。

 

(または脳に障害があるケースもありますので、専門医に診てもらう必要があります)

 

転嫁行動が出やすい個体も大きなストレスに晒された状況で、

介入のやり方が悪いととばっちりを受ける危険性があるので、

十分注意しなければいけません。

 

例えばドッグランで2頭の犬が喧嘩をしたり、追いかけているときに、

自分の犬を助けようとして抱き上げたりすると、

もう一方の犬に咬まれるケースがよくあります。

 

逆に興奮して吠え合っている犬を抱き上げると、

抱き上げた犬に咬まれることもあります。

 

こういった動物行動学的な知識がない古い訓練士は転嫁咬みされたことを話すと、

「それは飼い主のあなたが犬になめられているんですよ!」とか、

「ふて腐れていやがらせをしたんですよ!」

などと言われ、体罰を使って主従関係を叩き込むことを薦めてきますが、

お門違いもいいとこです...

 

常日頃から犬が興奮した時に転嫁行動が出ないように、

我に返ることができるようにしておくルーチンを練習しておくといいでしょうね。

 

そのためにも古典的条件づけを用いたトレーニングを教えてもらえる

トレーナーさんやアドバイザーさんのセミナーに参加することは大切なのです…