不妊手術で攻撃行動はなくなるか | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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今まで多くの専門家が雄犬の去勢・雌犬の避妊手術(以後まとめて不妊手術と言います)は、

性ホルモンによるストレスを減らし、攻撃行動(アグレッション)を減らすのに効果があると言い続けてきましたが、ここにそうも言い切れない発表があります。

 

まず、不妊手術で犬の行動を変えようとする考えは北米において主流なだけで、

ヨーロッパの多くの国々では攻撃行動を抑えるために不妊手術をするという考えに賛同していません

 

ノルウェーでは特別な医学的理由がない限り犬に不妊手術を施すことは法で禁じられています。

 

もちろん不妊手術によってある種のガンやホルモン関連疾患の発生率の減少に効果があるのは確かです。

 

雌犬の乳腺腫瘍の発生率などは、初回発情前に避妊手術をした場合は1%、初回発情後2回目の発情までに行えば4%、2回目の発情以降の場合は25%、3回目以降は発生率に変化なしというレポートが出ており、早期に避妊手術をすることによって低下する傾向があります。

 

 

ただ、『行動の変容』に関してだけ言うのであれば、決して人間の望む効果ばかりとは言えないようです。

 

ペンシルバニア大学の獣医学部のDeborah DuffyとJames Serpellの報告と、

Parvene Farhoodyが提出したニューヨークのハンター大学の修士論文を合わせた、

15,984頭という多数の犬の飼い主に対する調査(C-BARQと言われる101項目に及ぶ犬の行動評価と研究アンケート)によれば、不妊手術後攻撃行動は牡牝に関わらず最低約20パーセントから2倍以上に増加したという結果が出たそうです。

(特に1歳未満の雌犬に対する不妊手術は顕著に攻撃行動を増加させるようです)

 

他にも雌雄ともに恐怖心が31%増大していたり、

触られることに対する過敏が33%上昇するなどの所見が出ています。

 

そして行動面で変化があった唯一の『よかったこと』はマーキング頻度がおよそ68パーセント減少したことくらいでした。

 

つまり、攻撃性を減少させるのが目的で不妊手術を施すという考えであれば、

それは有効とは言えず、むしろ悪化させる可能性が高いということです...

 

 

参考文献: https://www.psychologytoday.com/intl/blog/canine-corner/201702/are-there-behavior-changes-when-dogs-are-spayed-or-neutered?fbclid=IwAR1T0cw11R_gUM48n8hh3Vzurkqd6KZQkwvwdg84_omaVR2slG-0FXhPf4U