世間は3連休でした・・・
身体をゆっくりお休めになった方
怒涛の観劇に走った方 などなど
いかがお過ごしだったでしょうか

この夏から秋にかけ久しぶりに
歌舞伎外ジャンルのお芝居を何本か
正直歌舞伎に手を出すと
(高給取り出ない限り)他に手がまわらなくなる(笑)
けど観たら観たで たまには他のも観なきゃって
思い知らされるんですよ~
本来の芝居好きの血が騒ぐのを鎮める為にもね

そのうちの1本が

シス・カンパニー公演
『ベッジ・パードン』 
世田谷パブリックシアター
2011年06月06日(月)~07月31日(日)

作・演出 / 三谷幸喜

出演 /
野村萬斎・・・夏目金之助
深津絵里・・・アニーペリン(愛称ベッジ)
大泉 洋・・・畑中惣太郎
浦井健治・・・グリムズビー(アニーの弟)
浅野和之
・・・ハロルドブレッド/サラブレッド/ケイトスパロウ
    等々なんと全11役!


 ティンク の 覚え書き-201107ベッジパードン

3~4年前までは三谷さん作演出なら
のべつ幕無し!って時期があったくらいですが
最近は今一つ食指が動かされず・・・
だったので ほんと久々
で今回食指に叶ったのが
三谷さんvs萬斎さん 萬斎さんvs深津ちゃん

山の手線の車内で お酒の広告の大泉洋さんを発見し
渋谷駅でエコナビ巨大看板の三谷さんに見送られ
世田パブに出かけたのを思い出します(笑)

で久々の三谷作品
変ってないな~と思うと共に やっぱりいいよね~とも
本当はもっと暗いというかズシンと重い脚本だったのを
東日本大震災を機に
こんな時こそお客様を楽しく笑わせたい
との思いからガラッと趣きを変え
最近の三谷さんにしては珍しい
金之助とベッジのラブストーリーになったそう
(漱石が作家になる以前のイギリス留学時代のお話で
すでにこの時 漱石は既婚者です)

でもやっぱり単なるラブストーリーじゃなかった~
たくさん笑って 笑ってるうちに
金之助と共に 憤って 悩んで 悲しくなって
べッジに胸キュン  そしてとっても切なくて
なぜか 自然と金之助目線に・・・
男性の立場に立っちゃうって どうしてだろ
それだけ萬斎さん演じる金之助が魅力的ってことなのか

大声を出して感情を露わに怒鳴り散らす萬斎さん
苦悩する萬斎さん おどおどする萬斎さん
コンプレックスの塊の萬斎さん
あっけらか~んと○○○な台詞を言って
いちゃいちゃする萬斎さん・・・
(もちろん ぜ~んぶお役の上なので正確には金之助さん)
周りに影響されまくり振り回されっぱなし
そんな萬斎さんってあまり観たことなくないですか?

イメージとしては 低~いお声のせいか?
冷静沈着で すごく大人で 論理的で 常に攻めてて
そして背中にもの差し突っ込んでるんじゃないかってほど
いつもとても姿勢が良くて(笑)
基本お声が好きなのです
この方 なぜだか全身からお声が出てるよう
に聞こえるから これまた不思議
声フェチとしては放っておく訳にはいきませぬ(笑)

おっ?いつからこんなに萬斎ファンに(笑)?
いえご本職の狂言はナマでは拝見した事はありません
そこまで手を出したら首が回らなくなりますから
三響會(←染五郎さんとご一緒された)や
テレビや映画(出られてるとついつい観ちゃいます)しか
でも不思議な魅力をお持ちですよね~

   

浅野さん 今回なんと11役!
結構 三谷さん今までも浅野さんに無理難題・・・の印象が(笑)
それだけ三谷さんが信頼してる役者さんということで
11役をひとりで演じる意味がちゃんとあるのです
なぜか?それを言ってしまうと大いなるネタバレ
ってもう公演終わってますけど
来月 wowow でO.Aされますから一応ね
 → ベッジ・パードン
   11/03(木) 15:00
   11/26(土) 19:00

観ればぜ~ったい納得しちゃいます(笑)
それほど説得力があります 
同じなんだけど違うんです 違うんだけど同じなんです
八面六臂 いえそれ以上の大活躍 
浅野さんにしかこの役出来ないよな~
まさにミラクル浅野です(笑)

   

大泉さん 映像でしか観たことがない方
惣太郎は決して根は悪い人じゃないんだろうけど
絶句するような 人を傷つける事を
サラッと?計画的にやってしまった男
ほんと途中までそんな仮面を被ってるなんて
思いもしなかった その片鱗も見せないからすごい
金之助の人間不振の原因だろ大泉!
って いや違う違う惣太郎(笑)!
見た目は“陽”だけど 結局はこの人も
コンプレックスの塊なんですよね
三谷さんの要求する?曲者を
期待にこたえるべく演じてらっしゃいます

TEAM NACS以外への初の客演とのことですが
もっともっと外部出演してほしいな

   

浦井さん 私の友人が大好きな役者さん
始めて観たのが新感線の薔薇サムだから
歌ってるイメージが強く
ストレートプレイではお初です なのでなんか新鮮!
このカンパニーで一番年下 その大事にされてるだろう感が
良い意味で滲み出ていたグリムズビー
裏社会で生きる割には ちょっと(いや かなり)考えが甘くて
ワイルドな見た目(扮装)とは裏腹に
アタマが良いのか足りないのか(笑)
でもお姉ちゃんが大・大・大好きで
悪気があった訳じゃないけれど(そう思いたい)
最後あんな事をしようとは
だから余計に やるせなくて切なすぎる~  
でもそれはやっぱり人としてダメ!だよ~

   

ベッジ@深津ちゃん なんでこんなに可愛いの
マイフェアのイライザの如くコックニー訛り
お行儀も決してよくはないけれど
徐々に金之助と居る時は
見た目も訛りも変らないのに
ちゃ~んとカワイイ女の子になってくる
グリムズビーと居る時はやっぱりしっかりお姉ちゃんだし

イライザがヒキンズ博士に育てられたの如く
・・・ではなく逆に金之助を育てたのはベッジだよ
最初のうちこそ金之助が自分より彼女を
下(階級)にみていたからの安心感での距離感だったけど
実は自分に正直にまっすぐ生きてるのは彼女の方で
それに気付かされた時には
・・・失ってからわかる大切なこと・ヒト
どこか似ている?者どおし
この二人の距離感が 間に流れる空気がたまらなく好き

本当なのか嘘なのかわからない事を
ベッジが突然語り出す場面があるのですが
“夢を話す時 最初に夢だよ
  って言って話したら皆聞いてくれないでしょ”

そんなベッジがいたから・・・

金之助が作家漱石になりえたのは
きっとイギリスでべッジと過ごした日々から
夢見ることを教わったから・・・
そう思えてなりません


切なくて涙が出そうなのですが
なぜか喪失感よりは 不思議と
ふんわりと温かく幸福感さえも感じられる
そんな素敵なお芝居でした

久々に舞台を観てキュンしましたよ
個々の役者さんにというのではなく
お芝居そのものにっていうのかな 

で タイトルの

まだまだ
 あなどるなかれ三谷作品!

な訳なのです


わたし的には三谷さんは映画より舞台の人なのだけど
もうすぐ公開の 『素敵な金縛り』(10.29 ロードショー)
観に行っちゃうんだろうな~ カチンコ
深津ちゃんだしね  



そして もう1本は・・・
 → あなどるなかれ vol.2 にて~
そんな引っ張る事もないんですけど(笑)
vol.1 が長くなっちゃたので