「さやゆーり」



ゆーりちゃん目線



仕事が定時で終わって
帰ろうと荷物をまとめた



〔太田くんご飯行かない?〕
《駅前に新しいご飯屋さんなんだけど》



腕に手を回される
距離感バグってんじゃないのか
って言うくらい近い



普通の男なら落ちるんだろうな
申し訳ないけど1ミリもその気は無い



「お誘い嬉しいんですけど
早く帰る用事があるので、すみませんニコッ」



《あっそうなんだね》
〔じゃあまた今度ね〕



会社に勤めて1年弱
先輩から可愛がってもらってる
ありがたいことだけど
正直下心丸見えでめんどくさい



〈さすが夢莉はモテるな〉



「そんなんじゃないですよ朱里さん」



この人は会社の先輩



〈早く帰りや、さや姉待ってんやろ?〉



「あっはい!帰ります。お疲れ様でしたペコッ」



朱里さんは先輩兼
僕の彼女の友達



走って駅に向かって
電車に乗り込む
数分電車に揺られて
家の最寄りに着く



"ガチャ"



「ただいま〜彩ちゃん」



『ゆーりおかえりギュッ』



お出迎えして抱きついてきたのは
彼女の彩ちゃん



彩ちゃんとはもともと幼馴染で
付き合ってからは3年が経つ



僕が就職を機に同棲を始めた



彩ちゃんは年上で
仕事は音楽系の会社働いてて
かっこいい一面があるけど
僕の前ではどこか抜けてて
末っ子感が否めない



『クンクン…』



「えっ臭い?」



『嗅いだことない香水の匂いする』



香水は僕つけないし
どこでつけてきたんだろ



あっまさかご飯誘ってきた人が
腕にくっついてきた時のかも



彩ちゃんに誤解させないように
伝えようと顔を覗く



「彩ちゃ…えっあっごめん」



顔を覗き込むと目をウルウルさせた
彩ちゃんが僕の腕から離れようとしてた



逃がさないように強く抱き締めた




『辞めてや、』



「違う、浮気とかじゃなくて
ご飯誘ってきた人が腕にくっついてきて」



『…』



「どうしたら、あっ朱里さんに聞いて
僕何もしてないから」



『ウフフ必死すぎやろ
朱里からもうLINE入ってるから知ってる』



笑いだした彩ちゃんを
見て安心した



「なんだ良かった」



『ゆーりは浮気するような人じゃないからな』



「あぁぁすき」



『ンッ…ゆーり』



どこか熱っぽい目で見つめてくる
その目で僕を煽ってること
彩ちゃんは知ってるのかな



「彩ちゃんごめんスイッチ入った」



お姫様抱っこをして
寝室に向かおうとしたけど
お姫様抱っこを交わされた



「えっダメ?」



『ダメじゃないけど
ゆーりがお風呂入ってからね?
香水の匂い残ってるは嫌だ』



さすがにそうだよな
俺も逆の立場だったら嫌だ
そう言ってくれるのもキュンとする



「わかったダッシュで入ってくる」



そう言って浴室に向かった



『ほんとに困ったもんだアハハ』



NEXT🔜明日