Twitter社の買収を巡って
多くの批判にさらされているイーロン・マスク氏だが
そのやり方の賛否、ノイズは横においておき、
Twitterを買収したことで
今、注目すべきは大きく分けて2つある。
この両方が世界的な潮流に今後影響を与えるだろう。
まず、会社の生産性。
買収をしてまずマスク氏が行ったのは
幹部を含め、多くの社員の解雇。
突然の解雇で世間から同情を集める裏で、
この社員達は十分なseverance package(解雇手当)をもらって
会社を去っていくことができた。
その上、Twitter社のブランドと経験を活かして
次の仕事を探すのにさほど苦労しないとも思われる。
ただ報道されていないより大きなポイントは
(もちろん今後の成り行きを
注視していく必要はあるが)、
あれだけ(50%ほど)解雇しても会社は成り立っているということが
証明されようとしている。いかに余剰人員を会社は抱え、
非効率、非生産的な経営がされてきたか露呈されるかもしれない。
そこで多くの社員を解雇したことがmakes a lot of economic sense,
理にかなっていたということになるだろう。
今現在多くのテック企業、特に上場している企業は
景気後退に備え、人員削減を行なっているが、
Twitter社のように社員の数をいかに絞り込み、
高い生産性を出すかが今後ますます問われるだろう。
人の介入を少なくするDXのお手伝いをするテック企業こそ、
人を減らして仕事をしなければいけない。
そして2つ目に注目されるポイントは
マスク氏の買収により、
情報の統制がTwitter社によって行われていたということが
明るみに出たのだ。
これに関しては多くの議論の余地があるかもしれないが、
shadow banning、シャドーバンがTwitter社或いはTwitter社員の
政治的イデオロギーや思考を基準に行われていたという
証拠が先日公表された。
今回のシャドーバンが実際に行われた例として出てきたのは
右派よりの保守派のアカウントのTweetが表示されず、
フォロワーからでさえも見られなかったことと、
あるスタンフォード大学の教授のアカウントを検索にかけても
見つからなかったりしたこと等など。自分のアカウントが
シャドーバンされていることを本人達は知らない。
言論の自由のことをfreedom of speechと言うが、
言論の自由はあっても、freedom of reachが
なかったということだ。
言論が消されたわけではないが、
つぶやいたことが多くの人に届くことを制限されたのだ。
中でも話題になっているのは
特定のアカウントの情報の削除をリクエストできるが、
アメリカ大統領の選挙戦前に不利になる情報が出ると
政府が「ロシアから送られてきている誤報」だから削除するように
Twitter社に要請をし、真偽が十分に検証されないまま
Twitter社はそのTweetを葬った。
後にわかったのはそのTweet内容はロシアから
送られてきた誤報ではなかったそうだ。
Twitter社が提供しているTwitterという商品を
ユーザーに使わせているから
言論のリーチの制限をTwitter社はしていいだろう。
そんな意見もあるかもしれないが、
そもそも制限されることを知らない人が多くいる中で
透明性のあるやり方で行うべきだったのではないか。
イーロン・マスク氏がTwitterを買収しなければ
情報統制の状態はずっと続いていたかもしれない。
マスク氏は対策として
自分のアカウントがshadow banされているかどうかの
確認のみならず、バンをされた理由、バンに対して
不服を申し立てるための手続きがわかるための
ソフトウェアを開発中とのこと。
マスク氏の今回のTwitter社の買収及び買収後のアプローチを
あまり良く思わなかった人も
いるかもしれないが、
会社経営における生産性の向上の手本を示し、
ビジネス界に良い刺激を与え、その上、
世界の言論の自由やリーチを守っていこうとしている
彼を救世主と呼んでもいいのではないかな、と個人的には思う。
だってこんな億万長者いる〜?
これからもマスク氏の動きに目が離せない。
<自分のための参考メモ>
Matt Taibbi
Bari Weiss
shadow banning
manual intervention
content moderation
Section 230
批判とハラスメントの線引きは難しい。