昔バブルの頃、
長財布がけっこう流行ったと記憶している。
タッ券、タクシー券を入れたり、
立て替えることが多かったので
領収書を入れたりするのに便利だった。
最近はバッグがミニチュア化していく流れの中で、
売っているお財布も小さくなってきて
かわいいから買ってしまったが、
小銭入れの部分がいつもいっぱいになってしまう。
そこでハッと気づいた。
小銭を使っている時点でもう私は
時代に取り残されていることを。
小さいバッグを持つ権利を有する者は
電子決済をする人だ。
さすがに交通系の電子決済カードは持っているが、
コンビニに行った時は相変わらず
現金で払っていることが多い。
ただ、小銭でお財布がパンパンになってしまう理由には
もう一つある。会計時
お札を出してしまいがちになっている。
後に並んでいる人を待たせたくない、
そんな思いから、小さなお財布に指を突っ込んで
適当なものが見つかるまで指先で
これじゃない、あれじゃないと小銭を払いのけながら、
もたもた探すより、札を出した方がスマートだ。
でも、これって老化のサインでもある
気がする。
計算が面倒という深層心理。
私的にはイエローカードだと
思った方が良さそう。
以前、オーバー70歳の
母の家を片付けていたら
あらゆるところから
小銭が出てきた。
ダウンジャケットのポケットからは
家の鍵とともに小銭がジャラジャラ。
母は家の鍵も何度か失くしているせいか
合鍵をどうやらたくさん作っていたようで
小銭とセットでよく他のコートからも出てきた。
部屋に飾りの灰皿のような小皿が
あって、その中にもやはり小銭が。
そして畳の上にも十円玉、
掘りごたつの中にも小銭が落ちている。
(ま、これはどのご家庭にも起きうるアクシデントかもしれないが)
母の認知能力が歳とともに低下していた。
それは家中に散乱している小銭に表れていた。
とにかく大量に出てきた。
昔はそれをガラーっと銀行のATMに流し込んで
そのまま預金することができたのが、
そういうATMって少なくなってきてしまった。
硬貨を入金すると手数料を取る銀行が増えてきた。
もしかしたら母のようなケースは珍しくなく、
お年寄りあるあるであまりにも大量な小銭が
ATMに入るようになり、銀行側が
困っていたのか。
そんなことを思い出しながら、
自分の小銭入れ部分が
ビール腹のオヤジのように
パンパンに出ている小さいお財布をしばらく
愛おしく眺めた。
ふぅ〜。溜め息。これも老化のサインなのか。
せめてもっと電子決済に移行しよう。
