前回からの続き

 

1時間近く待たされ、ようやく診てもらう病院が決まった。

母がいる救急車付近にタクシーに乗って向かっていたが

そのまま病院に行くことにした。

途中で後ろから救急車のサイレンが鳴っているのが聞こえた。

「母だ!母の乗っている救急車だ!」

病院の近くで私はタクシーを止めてもらい、

救急車が病院に到着するのをじっと目で追った。

タクシーの運転手がお釣りを出すのに100均のプラスチックの

箱を出して、小銭を丁寧に数えている姿に私のイライラはMAXに

達していたが落ち着いた声でお礼を言い、救急車のところまで

走った。

ちょうど母が担架に乗って出されるところで

「ママー!」と叫んだ。

救急車の人達に自分が娘であることを伝えるためだ。母の顔は一部黄色がかっているように見えた。

全体的には顔面蒼白だ。

「意識ははっきりされていますよ。話しかけても話は理解されているようです。」

と母を搬送しながら救急の人は説明をしてくださり、安心できるような状態ではない中、

話をしてくれることにありがたさを感じていた。

 

ただそのあと、この病院は病床がいっぱいで診察のみ。

入院は別の病院を探してもらわなければならないと

言われた。転院と聞かされたがなんとも思わなかった。

とにかく今は母を診てもらうことが優先だから。

もうすでに夜中の1時半を回っている。

 

こんな日に限って5時間後に働かなければいけない。

仕事関係の人にこんな時間に連絡はつかないし、

私の代わりを見つけることも無理だろう。

何があっても仕事はやるしかない。リモートだということがせめてもの救い。

いざとなれば病院の近くのホテルや貸し会議室で会議に出席すれば良い。

母の診察結果を待っている間にそんなことを色々と考えていた。

 

状況を夫にショートメールで説明して送ったが、

メッセージに気づかず、寝てしまったのだろうか。

家族と連絡が取れず、隣に介護施設の方が付き添ってくれた事は

とても心強かった。

 

つづく