縛られずに、自由に生きたい

気ままに、囚われずに

そう思っているはずなのに、

今日も何かを気遣って、

誰かの顔色窺って、

お愛想笑いをふりまいて

将来が不安で

明日を憂いて

今日も目を閉じて、

ようやく自由な




あなたのいない部屋は
少し薄暗い
まるで光を失ってしまったよう
今まで当たり前のように
照らされてきたから
全然気がつかなくて

ほんの些細なこと
ただ不安になったり
寂しかったりしただけなのに
知らない間に
お互いにすれ違って
その距離は遠くなってしまって

泡沫の幸せになんてしたくなかったのに
割ったのはきっと私なのね
今更気づいても
もう遅いのかな
あなたはまた誰かの光になっているのかな

照らされない月は
暗く沈んだまま
少しでいい
もう一度光を浴びたくて
私を照らしてほしくて
見つめた虚空は
やはり薄暗い



私が望むのは、いつだってたったひとつだった

貴方が幸せでありますように

貴方が幸せなら、それで良かった
貴方が私じゃない人を見ていたときも
私といる事を望んでくれたときも
貴方が自分のしたい事すべき事に励むときも
私がいらなくなるときも

私を好きになってくれてありがとう
我が儘をいっぱい聞いてくれてありがとう
女の子でいさせてくれてありがとう
今まで側にいてくれてありがとう

私はきっと、貴方以上に愛する人を見つけられないだろう

だから私の大切な人、どうか幸せでいて
私はその為だけにどんな道でも選ぶから
例えずとも、貴方のそばにいないという事でも


満月の光がふわりと二つの影を包み込む

「今宵は月がきれいですね」

「ああ、そうだな」

「夏目漱石はある英文をこうやって訳したんだけど、どんな文か知ってる?」

「?さぁ?普通にThe_moon_is_beautiful_tonightとかじゃないの?」

「あはは、それじゃ面白くないじゃん」

「じゃあどんな文なんだよ?」

「さて、どんな文でしょう?私の気持ちを如実に表してるんだけどなぁ~」

「なんだそりゃ?余計わっかんねーよ」

まったく、鈍いなぁ。
思わず苦笑してしまう。
でも、意味を知ってしまったらもうこうして二人で歩けないかもしれない。
それでもいい。どの道隠してはおけない。でも直接なんて言える訳無いから。
ああ、本当に月が綺麗



笑えるくらい一生懸命で

笑えるくらい不器用で

笑えるくらい真剣で

笑えるくらい、愛してる