←私 ←人事部長
「指導があまりにも厳しくて・・」
「うん、うん、そーよね。
うん、辛かったのよね。」
「大きな声で名前を呼ばれるのが・・」
「それはダメよね。大きな声は良くない。」
「一生懸命やってるのですが・・」
「そっかー、そーよね。」
三文芝居を見ているかのようだった。
すごく親身になって聞いている振りをする。
けれど言葉に感情がまるでこもってない。
人事部長からすると、よくある話なのだろう。
どこにである人間関係の問題なんて、
散々聞いており、飽きているのだろう。
なんだか話して、損した気分になった。
そして、最後にこんなことを言い始めた。
「はとこさんのお話を聞きましたが、
ハラスメントとは限りません。」
(えっ、ハラスメント?)←心の声
「彼女には彼女の言い分があるんです。
お互いの食い違いみたいなものがあり
ます。忙しい現場では、どうしても声が
粗くなることがあります。」
(この人は何を言っているの?)←心の声
「はとこさんのことは、ずっと聞いていま
した。でも、ハラスメントとは断定でき
ない部分もあります。」
(訴えに来た訳ではないのに。)←心の声
「はとこさんの言いたいことは、
分かりました。じゃ、あちらからどうぞ。」
「えっと、あの。」
「はい、あそこが出口です。」
「あ、はい。」
人事部長は忙しいのだろう。
きっかり15分で退室させられた。
むろん話の途中である。
部署のパワハラ体質が変わらない理由が、
会社(人事部)にあることが分かった。
形だけの面談なんて要らない。