「ファッション/世の中にはもっと魔法が必要です」
鷲田清一(哲学者/せんだいメディアテーク館長)×山縣良和(ファッションデザイナー)
に行って参りました。

これが無料で聞けるなんて仙台市太っ腹!
せんだいメディアテーク館長の鷲田清一さんが、各分野のプロフェッショナル「一見関係なく見えること」を、とことんやっている【破格の人】を紹介するコーナー。
お話を伺いながら、メディアテークを通してみえる社会の課題を共有し、考えを深めていく対談の時間。
■山縣(まやがた)良和:1980年生まれ。セントラルセントマーチンズ美術学校卒業。ジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを務めた後帰国。
どこかで、鷲田さんは震災があったから、メディアテークの館長を引き受けられたというものを読みました。
震災で失ったものは多かったけれど、知ったこと、受け取ったことも数えきれない。
私は、哲学が何かも、ファッションが何かもわかりません。
わかりませんが、頭の良い人たち、突出している人たちが、何に注目し、何を探し、どんな人付き合いなのかに興味があります。
山縣さん
「模索は難しいし、畑を耕す作業は地味で、カッコよくもない。
まわりの反応は悪い。
コレクションのあと、会場が怒りで充満していることもある。
ただ、怒らせたくてやっているわけではない」
「ただ、怒らせたくてやっているわけではない」 とおっしゃったとき、会場の空気が一変したように感じました。
弱さを出せる強さ。
確かに、コレクションの映像は素人の私に難解で、理解できないかもしれないから帰ろうかと迷ったとき、鷲田さんの語り口が柔和で、また山縣さんを理解し導いているようでもありました。
「山縣さんのいいところは、『理解できなさ過ぎて、よくわかりませんでした』といわれる清々しさ。強い」
この着眼点、人が理解できないことを面白がれる人って、なかなかいないと思います。
だから、ただものではないのでしょうけれど。
鷲田さんは、現代のメイクアップは軟弱だとおっしゃいました。
「コスメティックとは、コスモス(宇宙)が語源。
自然のものはカラフル。
人間は地味だ。
カラフルな自然・宇宙に張り合うもの【宇宙への挨拶】がメイクアップ。
ナチュラルメイクは縮まったメイク。
対人関係のイメージ調整となり、メイクが貧弱になっている。
ファッションとは、身体の輪郭を越えていくもの。
刺青やタトゥーといった類はハッキリしている」
よく見せることに必死になるより、魅せることを楽しんだらいいという気がします。
ファッションや身体を研究されている方の話は、宇宙や自然がルーツとなっていたことも、それ自体が自然の法則なんだなと思いました。
メイクでぶっちぎっていたエイミー・ワインハウスの映画の話題も上がるこの頃。
無意識が疼き出した時間でした。