遊世にとっての幼稚園は、初めは何もかもが新しく、楽しいものでしたが、当初の「ひらがながやりたい」という目的が達成されると、毎日同じことの繰り返しで、それに疲れてしまったようです。

母親から見て、子供の「やりたいこと」は、日々かわります。

 

しかし、そのたびに転園するわけにもいかず、かといって幼稚園の方針を変えてもらうこともできません。

 

そうなると、遊世のような子供は、今したいこと、興味のあることを親が家でさせてあげることが一番いいのではないか、と考えました。

 

遊世がもっとも望んでいたのは「家族とじっくり過ごすこと」のように思えました。

私は今こそ、家族の根っこをつくる期間だと思い、幼稚園をやめさせようと決めました。

 

夫もそのことには快く同意してくれ、人間不信に陥っていた私の代わりに幼稚園に退園の旨を伝えてくれました。

 

じつは遊世が幼稚園に行きたくないと言い出したちょうど同じ時期、我が家では生活環境の変化があったのです。引越し、夫の独立、それに伴う在宅勤務でした。

 

こうして、我が家のホームエデュケーションは始まったわけです。しかし初めからうまくいったわけではありません。

 

私は「夫が家にいる=子育てや家事を手伝ってもらえる」ことを自然にl期待し、子供たちは「パパが家にいる=たくさん遊んでもらえる」ものだと思っていたのです。

 

とにかく在宅勤務になるのだから、家族がいっしょにいる時間が多くなると思っていました。しかし、実際はそんな単純なものではありませんでした。

 

今考えると当然ですが、夫は始めての独立で、生活が不安定にならないよう、以前にも増して仕事に打ち込むようになりました。毎日仕事仕事。頭と心は仕事でいっぱい。家族と向き合う時間も無く、家族全員でリビングにいても、心ここにあらず、魂不在といった状態でした。