夢を、見た。
近所の公園のベンチで、愛恵ちゃんと誰かが楽しそうに話している夢。
そのうらやましい誰かはこっちに背を向けて座っていて、後ろ姿しか見ることができない。
やわらかそうな栗色の短髪に襟つきの黄色い半袖シャツ、色褪せた水色の短パン。
どこかで見たことがあるような気がしたが、誰のものか思い出すことができずにやもきしていると、不意にその人物がこちらを振り返った。
その顔を見た瞬間、息が止まるかと思った。
それは、まぎれもない僕自身のものだったのだ。
驚きのあまり、なにもできずにいる僕を後目に、もうひとりの僕はふっ、とほほ笑んで、また愛恵ちゃんと話はじめる。
その笑みはまるで、愛恵ちゃんとまともに話すこともできない現実の僕を笑っているようだった。
夢の中でさえ感じる胸の痛みから逃れるように、僕は深い眠りに落ちていった。