今日のブログ記事は、ザック・スナイダー監督、ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル主演映画『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』について書きたいと思います。
全体的な感想として、「(絶賛ではなく)賛否両論される出来栄えであった」のも無理もないかなという感じです。
バットマンと、スーパーマンという世界的にも名の通ったビッグヒーローを同じ映画でリンクさせるには、それ相応の筋書きと辻褄が合わない限り、現実感が乏しくなることは予想されます。
しかも、この映画の脚本では、共闘して悪と戦うという設定よりも、映画タイトルにも表れているように、互いのイデオロギーの違いによって両者が対峙しあうことを命題にしています。
そのため、悪のヒーローを打ち負かして観客をスカッとさせる映画というよりも、『正義』とは何かを考えさせ、その答えを観客に問いかける作品となっています。
哲学的映画です。
私個人の感想として、「良い線まで行っているが、もう一歩欲しかった、、、。」というのが率直な批評です。アメリカの批評家には不評、観客には、まずまず好評という結果とのこと。つまり、賛否両論・・・。真っ二つに評価が分かれたことについて納得です。
良かった点としては、クリストファー・ノーラン監督がメガホンを取ったバットマンシリーズ(「バットマンビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイトライジング」)に見られた、現実的映像を踏襲している点です。
つまり、架空の世界を強調しすぎるのではなく、バットマンやスーパーマンが人間と暮らしている社会を違和感なく伝えることに成功しています。
このリアル感がないと、バットマンやスーパーマンが考える正義感と、人間の未来との関係性をテーマにすることは難しいでしょう。ザック・スナイダー監督の作品意図・狙いからもズレるように思われます。その点、バットマン、スーパーマン、人間の同居という現実味を帯びさせた映像表現は、成功したのではないでしょうか。
もう一点、注目すべきは、今回バットマンを演じたベン・アフレックさんです。
ダークナイトシリーズでバットマンを演じたクリスチャン・ベイルさんの存在感は、観客に今なお好印象を与えています。
そのイメージが強かったので、ベン・アフレックさんがバットマンを引き継いで演じることは、とても難しいシチュエーションだったことでしょう。しかし、本作では、バットマンあるいは正体であるブルース・ウェイン氏を力強く演じています。
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幼少時、親を殺されたブルース・ウェインの悲しい記憶と、心に残された傷との葛藤は、バットマンシリーズにおいては非常に重要なキーワードです。その内面をベン・アフレックさんは深く掘り下げながら場面・場面を演じています。この作品に深みを与える一因となっています。
もし、ベン・アフレックさんの演技が乏しかったら、作品自体が成立しなかった恐れがあるでしょう。
クリスチャン・ベイルさんのイメージを払拭するという義務が生じながら、バットマンの心情をリアルに演じ切っている点において、ベン・アフレックさんを称賛すべきだと私個人は思います。
この映画の良さを二点挙げましたが、続編に関しては、製作側の判断次第だと思われます。観客の支持率が高かった分、続編の公開に関する可能性も0ではありません。しかし、それも脚本の出来次第でしょう。
バットマンとスーパーマンという二大スーパーヒーローが同じ世界で遭遇しリンクするという命題は、ある意味、ハンディキャップであるとも思われます。
そのハンデをどのように乗り越えて作品化するか・・・。この映画をシリーズ化するには、圧倒的な脚本が必要不可欠であるということです。まさに、作品そのものが『正念場』に位置づけられています。
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