日増しにどつぼは重たくなる。
先日小物屋で、壺を買った。
けっこう大ぶりな壺で
たっぷりと花をいけるのにも
何かを漬け込むのにも良さそうだった。
「これは、どつぼというのですよ」
なんか悪いネーミングだな、と思った。
「ハマっちゃうやつですか?」
店主は笑っていた。
「これも差し上げます」
重たい蓋をくれた。
帰り道、大ぶりな壺にしては軽かったが
蓋の方が重たくて
何度も持ち替えながら歩いた。
玄関先に置いたら、少し大きかった。
台所でもぴったりこなくて
リビングにようやく収まった。
でも、この蓋いらなかったかな…。
リビングでは単なるインテリアとして飾っておいた。
そして本当の使い方を知ったのは
数日後だった。
聞かなくてもいいような言葉を
電話で聞かされて、すっかりくさくさしていた。
「何だっていうのよ、一体もうっ!」
久々の大きな独り言。
その時。シュッと音がして
私の独り言が壺に吸い込まれていった。
中をのぞいても、何も見えない。
しばらく壺を逆さまにしたりして
眺めていたけど何も変わらない。
気のせいだったのかも。
ソファーに座って、コーヒーを飲み始めると
さっきの電話のことを思い出した。
それからズルズルと昔のことまで引っ張り出されて
重たくてどうしようもない気分になった。
大体あの時だって、そういえばあの時も
前には仕方ないと諦めたことまでが
再度許せないこととして浮上してきた。
長く気付かなかったが
私は怒っていたのだ。
「はあーっ……」
超ヘビー級チャンピオンのため息。
シュッ!
やはり間違いない。
壺が吸い込んでいる。
やっと重たい蓋の意味がわかった。
あわてて蓋を閉めると
びっくりしたせいか、電話のことは頭から飛んでいた。
その夜、そこから想いがぶり返す事もなかった。
どつぼは活躍している。
どんなに頭に来る事でもいったん吸い込んだら
私に戻って来る事はない。
感情的にならずにすむと、
物事はいろいろとスムーズに動く。
ただ段々日増しに重たくなるのだけが
少し気がかりだが。
先日小物屋で、壺を買った。
けっこう大ぶりな壺で
たっぷりと花をいけるのにも
何かを漬け込むのにも良さそうだった。
「これは、どつぼというのですよ」
なんか悪いネーミングだな、と思った。
「ハマっちゃうやつですか?」
店主は笑っていた。
「これも差し上げます」
重たい蓋をくれた。
帰り道、大ぶりな壺にしては軽かったが
蓋の方が重たくて
何度も持ち替えながら歩いた。
玄関先に置いたら、少し大きかった。
台所でもぴったりこなくて
リビングにようやく収まった。
でも、この蓋いらなかったかな…。
リビングでは単なるインテリアとして飾っておいた。
そして本当の使い方を知ったのは
数日後だった。
聞かなくてもいいような言葉を
電話で聞かされて、すっかりくさくさしていた。
「何だっていうのよ、一体もうっ!」
久々の大きな独り言。
その時。シュッと音がして
私の独り言が壺に吸い込まれていった。
中をのぞいても、何も見えない。
しばらく壺を逆さまにしたりして
眺めていたけど何も変わらない。
気のせいだったのかも。
ソファーに座って、コーヒーを飲み始めると
さっきの電話のことを思い出した。
それからズルズルと昔のことまで引っ張り出されて
重たくてどうしようもない気分になった。
大体あの時だって、そういえばあの時も
前には仕方ないと諦めたことまでが
再度許せないこととして浮上してきた。
長く気付かなかったが
私は怒っていたのだ。
「はあーっ……」
超ヘビー級チャンピオンのため息。
シュッ!
やはり間違いない。
壺が吸い込んでいる。
やっと重たい蓋の意味がわかった。
あわてて蓋を閉めると
びっくりしたせいか、電話のことは頭から飛んでいた。
その夜、そこから想いがぶり返す事もなかった。
どつぼは活躍している。
どんなに頭に来る事でもいったん吸い込んだら
私に戻って来る事はない。
感情的にならずにすむと、
物事はいろいろとスムーズに動く。
ただ段々日増しに重たくなるのだけが
少し気がかりだが。