昭和のパソコン創世記時代が、まさに青春のど真ん中でした。
大学の専門は情報工学系だったのですが、パソコンの普及と学生生活がクロスオーバーしていました。

卒論のテーマに選んだのは、当時はまだ一般的では無かったCGを利用した環境シミュレーションで、簡単には建物や街の三次元データを起こしてCG化することで景観や日照状態などを考察しようというものです。

当時のパソコンは非常に高価でPC98シリーズなどはフルセットで100万円ほどしました。それでも今のパソコンのような天然色を表現できる機能はありませんでした。

卒論研究にどうしてもパソコンが必要で、ローンを組んで買ったのが富士通のFM-7でした。当時としては良心的な価格設定(12.6万円)でアルバイの貧乏学生でもなんとか手が出る価格です。

問題はFM-7のグラフィック機能が像度640×200ドットで同時に8色しか表示できなかったことです。CGをやるにはあまりにもチープな環境でしたが、無い機能は知恵でカバーするしかありません。

計算能力も低くて1つの画像を計算するのに24時間計算しっぱなしで1週間ほどかかりました。夏場は熱暴走を避けるためにケースを空けて扇風機を回しながら計算させていました。

8色からフルカラーの天然色への変換にはアナログのカメラを使います。計算したCGデータをビットプレーン単位に重みを付けしてカメラで多重露光することでフルカラー映像を作り出すことができるのです。RGB各色を256階調の8ビットデータだとすると、これをビット単位のデータを作って1ビット目は1回、2ビット目は2回、3ビット目は8回と表示回数に重みを付けてシャッターを開放したカメラで像を重ね合わせると256階調の色でも表現できました。

当時、CGで描いたツルツルの球体画像が流行りましたが、雑誌や書籍の表紙用に需要があって、CG画像のネガ1枚が30万円ほどで売れた時代です。
卒論そっちのけでせっせとアルバイトをしてたわけです。w


そんな懐かしいレイトレーシングを今時の高級パソコンで走らす8ビットパソコンのTIC-80でプログラムしてみました。
TIC-80の環境では同時発色できる色数は16色になるので、フルカラーレンダリングを行った後でカラーパレットによる誤差分散で色合いを表現しています。
用意したパレットパターンは15種類で、パレットカラーによって表現できる色に制限があることがよくわかると思います。

イメージ 1


TIC-80 Ray Tracing #TIC80
https://tic.computer/play?cart=384

実際のレンダリングには少し時間がかかりますが、ほんの数秒です。
昔は1週間計算しっぱなしだったことを思えば夢のようなマシーンです。w

本日の教訓

「上を見ず、足元を見ながら生活すれば、気持ちが豊かになるぞ!」