昔、卓上のCNCマシーンにハマったことがあります。
ステッピングモーターのコントローラー基盤を買って筐体とソフトは自作しました。

自作してみて「ものぐり」の奥深さを知りました。
計算式ではじき出される理論の世界と物理的な世界には大きな隔たりがありました。



最近のオコチャマは何でも簡単にできると思っているようですが、
3Dプリンタで「ものぐり」なんてあり得ません。

もちろん個人的な粗悪なオモチャを作る程度は出来ますが、
それで何でも作れるということではありません。

まず、どれだけ高価なCNCでも、卓上CNCでは作れる物はたかが知れてます。
工作物のサイズだけではなく工作精度や工作速度が致命的に現実性がありません。

もしある程度の工作をするなら工作機の重量は1トンは必要でしょう。
重要なのはまず重量なんです。

なぜ工作機の重量が重要なのか不思議思うかも知れませんが、
実はこれは一番大切な要素の一つです。

工作の精度を上げるためには工作機械の精度そのものがまず重要になります。
そのためには強度な剛性と、工作機が動作するときの振動や熱に耐性が必要です。

たとえ高精度に作られた工作機でも、工作速度が遅くては実用性がありません。
工作速度を上げると慣性力や発熱の対策が必要になってきます。

そのためにもそれらを吸収できる質量が必要になります。
さらに本物の「ものづくり」は手仕事でしか作り出せません。

例えば1/10mmの加工をしようとすると工作機械にそれ以上の精度が必要です。
もちろんその精度は三次元加工なら各軸の精度の掛け合わせですから、各軸の単体の精度は1/10mmより相当高い精度が必要なります。

つまり工作機では工作機の持つ精度以上の精度は作り出せません。
その精度は作り出せるはプロの熟練工による手仕事だけです。
次のステップに進むためには手仕事以外にないのです。

現在市販されているオモチャの3Dプリンタは熱した粘土をひねり出すもので、
精度など微塵もありませんが、今時のオコチャマは勘違いしているようです。

設計時間や機械の加工時間と後の手直し時間を考えると、
最初から手作業で作ったほうが精度の良い物が早く作れるかもしれません。

もちろん精度なんて全く必要のないオモチャの工作なら問題ないでしょうが・・・