吉野 | 京都1975

吉野


三十三間堂の裏っかわ。ほっそ~い路地からむんむん漂うあぶらの香り。眉間にしわを寄せ、ようく目を凝らしてみると、奥のほうにほんのり灯るちっちゃな赤提灯。決して大きくはない店内は、近隣の人たちや観光客でひしめき合い、まさにてんやわんやの大騒ぎ(陳腐表現失礼)。閑静な住宅街で唐突に邂逅する「楽園」の希少性に、思わずモチベーションも上昇。ホルモン×お好み焼き×焼きそばという、決してメインストリームを歩めないB級グルメ界の個性派俳優が揃い踏み。この三者が入り乱れる名物「まんぼ焼き」は、さながら竹内力と哀川翔と白龍の殴り合いのような極濃テイストで失神寸前。シンプルさを志向するならば、あぶらじゅるじゅるで肉の旨みたっぷりのホソ焼きが手堅く美味い。からだ中に染みつくアブラギッシュなスメルを代償に、汗かき酒飲み無心にがっつけ!そしてふと我に返ったとき、あなたもこのカオスの一員であることに気付くのだ。

お好み焼吉野
★★★★★ 4.5