新福菜館本店 | 京都1975

新福菜館本店

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京都を代表するラーメン店のひとつ、たかばしの「新福菜館」。JRの線路を跨ぐ登り坂のはじめ、周りになんもない辺鄙な場所に名店「第一旭」と「両雄並び建つ」。行列の数はいつ見ても「新福菜館」のほうが多いが、店の前で両店の店員同士が談笑していたりと、和やかに共存している模様で、ちょっと微笑ましい。持ち前の「へんこ」ぶりから言って、ここでひとまず「第一旭」派を高らかに宣言したいところではあるが、私も人の子、普通に「新福菜館」派なのである。店内は狭く、客がひしめき合い、とにかくせわしない。やんちゃ系店員の怒号、焼きめしをひっくり返す中華鍋の音、麺をすする音……これらの騒音が渾然一体となって鼓膜に襲いかかり、いやがおうにも焦燥感を喚起させる。しかも1~2人で来店すると高確率で相席に。こうなると当然、目のやり場に困るし、ラーメンが来るまでの間、無意味にメニューを再確認したりと、ほんまに居心地が悪い!しかし、この居心地の悪さが奏功し、ラーメンが来たなら食う行為に全神経を集中できるのである、「はよ食って、はよ帰ったれ!」と。店内のやけに明るい蛍光灯の照明が、白いテーブルを明るく照らし出し、結果としてどす黒いラーメンのスープが、コントラストとして眼前にリアルに浮かび上がる。歯ごたえがあるぶっとくて固い麺はスープとの絡みが抜群ではあるが、逆に早く食わないと麺がスープを吸いすぎて伸びてしまうという焦燥感を、舌を通して食う人に訴えかけてくる。そのせいかどうかは分からないが、周りを見渡すとみんな食うスピードが早い!ズルズルッと無心に食らう。そんなこんなで、こんなにぶっとい麺の、濃い口のラーメンではあるが、食い終わるのはあっちゅう間。ラーメンと同じように濃いきつね色をした焼きめしもこれまた美味い。中華鍋でガツガツいわせながら、あんなに激しく炒めた焼きめしが美味くないわけがないと、何故か根拠のない確信を抱かせてしまう雰囲気は、ある意味卑怯である。ラーメンと焼きめしをダブルで食うと、もう腹はパンパン。「食ったった!」食後のこんなに気持ちのいい満足感は、実はあんまり経験できなかったりする。「天下一品」など他のチェーン店と同様に、やはり本店の店内はなんとも名状しがたい、凄まじいエネルギーで満ちあふれている。

新福菜館 本店 (しんぷくさいかん)
★★★★★ 4.5