おやじ | 京都1975

おやじ

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「おやじ食いに行こうや!」と京都人が言えば、それは右京区花園にある「ラーメン親爺」に行くことを指す……というのは冗談。東山界隈に、同じ「おやじ」という店名を掲げる焼きそば屋さんがある。鉄板焼きなのに、メニューは焼きそばのみ。お好み焼きなどの余計なメニューは作らない、この潔さに思わずそそられる。店の扉をガラリと開けると、そこに登場するのはしかめっ面のガンコおやじ!……ではなく、なぜか恰幅のいいおばちゃんが登場……なんやそれ。おやじさんはというと、おばちゃんのサポート役で、食べ終わった鉄板の後かたづけを担当、見た感じ権力は全くなさげ。力の抜けたような愛想笑いをしながら、そそくさと焼き跡をこすり取る様は、ある意味滑稽であり、そこはかとなく哀愁を漂わせている……店名は「おかん」のほうがええんと違う?と、ここで余計なツッコミを一発いれたくなるのは関西人の性分なのか……。記憶を辿れば、「カキおこ」で有名な兵庫県日生の「浜屋」というお好み焼き店も、同じような「かかあ天下系」であったことをふと思い出してしまった。店内は、おばちゃんが調理するどでかい鉄板がそのままテーブルになっており、その鉄板を囲うように無造作に置かれた椅子に客が座る。その光景は、さながら親鳥とヒナのようなもので、早く自分の番にならないかと、目の前で次々と調理されてゆく他の人の焼きそばを、よだれが垂れそうになるのを我慢しながら、じっと眺めてしまうという体たらく。男顔負けの手際の良さで次々と調理されてゆく様はなかなかの迫力で、当然ではあるが熱い!いざ自分の焼きそばができあがると、汗をダラダラと垂らしながら、はふはふ!とかき込む。ノビがあって腰のある太麺に甘辛ソースが絡み、食べ応えは十分、さすが焼きそば専門店!と舌鼓を打ってしまう。普通の焼きそばが一玉¥500で、キャベツ、イカ、天かすなどの具が付いてくるが、これにプラスアルファで、キャベツ¥200、豚肉¥100、天かす¥50などと、自分好みに細かく具を増量・トッピングできる方式になっている。しかし、家で作る焼きそばと同じような感覚でトッピングしまくると、いつの間にやら¥1,000オーバーということもざらにあり得るので、やり過ぎにはご注意をば。お勧めトッピングは、干し桜エビとニンニクで、ソースの辛みに旨味、香りがプラスされ、味に深みが増す。営業時間が昼と夜それぞれ2時間だけと、かなりピンポイントな設定なので、気軽にいつ行っても開いているというカジュアルな店ではないが、近辺の鉄板焼きの店のなかでは一番にお勧めしたい店である。

おやじ
★★★★ 4.0