はせがわ | 京都1975

はせがわ

「グリル」……それはまさに魅惑の響き。広辞苑を調べてみると「洋風の一品料理などを出す軽食堂」、「肉や魚を使った網焼き料理」とある。私的なイメージとしては、網は使わずとも、フライパンなどの鉄板の上で、焦げ目が付くまで焼かれた、肉汁たっぷりのステーキやハンバーグを想起してしまう。腹の音がきゅうきゅうと鳴いているハングリーな状態ならば、胃の奥底までダイレクトに突き刺ささり、食欲を喚起させる魔の言葉、それが「グリル」ではなかろうか。このステレオタイプな「グリル」のイメージを、この上なく忠実に再現してくれる店が「はせがわ」である。北大路通りと加茂街道が交差する北西角に、堂々と店を構える老舗。平日・週末問わず、店内は家族連れやカップルと、大勢の客の熱気で溢れかえっている。昭和の香りを色濃く残す店内は、オレンジ色の電球色に包まれ、グリル料理が美味そうに映える。お勧めのメニューはハンバーグセット。分厚く、丸っこいハンバーグと脇役のナポリタンは、共にケチャップ味のオールドスタイル。ぷりぷりとした食感の大きな海老フライも絶品。余計な小細工のない、堂々とした料理っぷりはまさに王道である。さらに、プレートのサイズが大きいため、ボリューミーでかなりの食べ応え。肉と油の香りに喚起され、無心にがっつけること請け合いである。店の東側では弁当販売も行っている「はせがわ」。弁当にしては、少々お値段は張るが、この味とボリュームをそのまま店外へテイクアウトできるのは嬉しい限り。これが意味すること……つまりそれは店の前を流れる賀茂川である。晴天の下、河川敷に腰掛け、川のせせらぎを眺めながら、熱々のグリルをほおばる……これ絶対美味え!いずれは実行してみたい、私のささやかな夢の一つなのである。

はせがわ
★★★★ 4.0