キッチンアベ | 京都1975

キッチンアベ

知る人ぞ知る、一乗寺の隠れたオアシス「キッチンアベ」。店内に入ると、その光景にまず圧倒される。夥しいほどの漫画が整然と並べられた本棚、金魚が優雅に泳ぐ水槽、そして、壁一面に貼られたメニューの紙切れ。AMラジオをBGMに、万物が渾然一体となったこの異空間の案内人は、ヘンゾ・グレイシー 似の無愛想なおばちゃんである。中華料理を標榜しつつも和洋中入り乱れる異種格闘技戦なメニューは実数が把握できない程に膨大で、中には「ぷるぷる定食」(茹でた豚肉をさっと炒めたもの)などとチャーミングなネーミングが目を引いたり。この店の白眉は「若鶏の唐揚げ定食」。世に少ない貴重なカリカリ系の唐揚げ。それに自家製の甘ダレがかかり、得も言われぬ旨味が炸裂!大食いの諸君には、必ずご飯は大盛りにしておくことをオススメしたい。この店は、夜は飲み屋としても機能しており、私もオヤジ世代になる頃には、お世話になろうかと今から思っていたりする。大将は結構年をとっておられるけれど、一子相伝、息子さんへの味の継承も水面下で行われているようで、「キッチンアベ」の将来はとりあえず安泰と言えるだろう。

キッチンアベ
★★★★★ 4.5