越中バイ
加賀バイ
大越中バイ
秋田バイなど
呼び名がいろいろあるバイ貝。
五月から七月前までの梅雨の期間は
産卵期であるので味は落ちると言われる。
深い海に棲み夜行性なので日中は砂泥を
かぶって夜に這い出しゴカイなどを餌に
成長する貝でバイ篭漁などで採る。
初めて食べたのが小学生六年生の時
叔母が相川の家で炊いてきたのを
恐る恐る食べた。
白い貝殻のものはそれまで見たことない。
私の浜で採れるものはそんな白い貝殻の
ものはなく殻も石でたたき割らなければ
食べることはない。
白バイは指でも壊れる
楊枝で簡単にするする尻尾まで抜き出る
とろーりとした汁と一緒に口に入れる
しこしこした旨みの身
そしてあの濃厚な旨みのワタが
何ともはや初めて食べた時から
大好物になった。
そして昆布と塩と淡い醤油の味
叔母らしい味付けがたまらない。
50個は食べたと思う
食べ終わっても貝に残る汁を一滴もらさず
吸っていた。
加賀の香林坊の割烹に行った
バイを炊いてあるということで
もちろん無類の白バイ好き
ほっておくわけない
今か今かと待っている。
九谷の浅めの鉢に少し大ぶりのバイが
盛り付けられ木の芽が叩いてあった。
黒文字の楊枝が刺さっている
一気に口に入れる。
確かにバイであるが
予想していたものとはちと違う
こんなに濃くしたら
折角の淡いバイの身が
肝が味醂甘くてかなわない。
(美味しいですねー)とは言うが
仕方ないこれは煮貝だからとあきらめた
それはそれで旨いとは思う。
では白バイの酒煮をこしらえるしかない。
海水と同じくらいの濃度の塩水に二時間程つけて
泥などを吐かせる。
付着している汚れなどを洗う。
鍋にバイがひたひたになる水とここでも
海水位の塩を入れて沸騰させいったん火を
とめ煮汁を捨てる。
昆布を入れておいた鍋に酒をたっぷり
生姜を輪切りにしたものいれ
バイを入れて七分程沸騰させる
仕上げのこともあるのでアクをすくって
味見してよければ火を止め粗熱をとる。
そして冷蔵庫に入れておき
翌日しっかり味がなじんで酒煮は完成。
たまらない旨さをご堪能ください。
冬になると叔母の炊いた白バイを食べたくなる。