我が家の家紋は(五三の桐)
中国では鳳凰が宿る木といい
神聖視をされると聞く。
背の高い桐の木が古い家の脇に
そびえ鈴のような実を付けて
秋深くなるとでかい葉っぱが落ちてくる。
昔は女の子が生まれると桐を植えて
嫁ぐ時にそれで桐箪笥をこしらえて
嫁入り道具にするというから
成長が早いのではないだろうか。
日本で採れる材木の中で一番軽く
細工もしやすいので下駄や箪笥そして
箏の材料だという。
これだけ軽いのだが
発火しずらいので金庫の内側に
張られていたというから面白い木である。
母方の祖父は突き漁の名手で
あったことは何度か記述した
この祖父たちはプラスチックや
ガラス玉のない時分に
トビウオ漁の網の浮きに
この桐を細工していたと聞く。
今では漁獲量が年々少なくなって
いるがトビは佐渡島の食文化には
欠かせない
出汁といえばトビ
昆布巻きもトビ
煮しめもトビ
中華そばにもトビ
夏大根おろしにトビ
飼い猫のシロも大好物のトビ。
トビウオは水面近くで餌をとるので
網が沈むと何にもならない
素通りしてゆくので出来る限り
水面に近いところになければならない
小さかった頃の舟小屋にはこの
桐の浮きがあったのを覚えている。
佐渡島と言えば北前船の寄港地でも
あるのでこの船箪笥の産地としても
有名であることから相当量の桐の木が
植えられていたようだ。
水の侵入にも強く
軽いので狭い舟の中では重宝した
のであろうましてや火に強いわけで
理に適っている。
先人の智恵というものは
我々の資産である。