*********




『・・・っぁ!』




びくっと跳ねた身体。
飛び起きた。




『こ・・こ・・?』




起き上がった拍子に
私にかけてあった布団が


パサリと落ちた・・

ぎょっとした・・




『な・・なんで?!』



急いで布団を引き寄せて
体を隠した。




な・・・何で・・?
なんで・・

私・・裸・・




思い出そうとしても
思い出せない・・


何度も、キスをされた
そして、椅子から落ちて・・頭撃って・・・


頭に触れると
うっすらとたんこぶが手に触れた・・。



それから・・
それから・・・?



きょろきょろと見渡した部屋。
弦のアトリエにいたはず・・・
でも、ここは・・・?


見渡して、
見つけたのは
椅子の上に置かれた服・・。

私の服・・。


ちゃんと、たたまれた服。
手を伸ばして
身に着けた・・。



『とにかく・・ここから・・・』



ドアを開けようとしたとき・・



外から
がチャッとドアが開いた・・。



『きゃ・・っ』
『あ、目覚めたんだな。』



入ってきたのは
立って・・歩いてる
弦・・。



『・・な・・・なんで・・?』
『ん?あ~、歩けるよ、俺。』
『ど・・どういうこと・・?』
『ん?あ~、長くは歩けないからさ。それに、アトリエは車いすのほうが楽なんだよ。』



立ったり座ったり
繰り返すのはきついんだ。



お茶を持って入ってきた弦。
にこにこしてるけど・・
なんだろう。



怖い・・。



思わず、弦をよけて
私はベッドに座ってしまった・・。



『なに、警戒してんだ。』
『そ・・んなこと・・』
『ふ・・・♪今なら、千鶴に何しても拒まれない気がするな・・♪』
『え・・!』



ベッドに膝をつけて
私を見下ろしてくる・・

ずずずっと、
ベッドの上で
後ろに下がった私・・



『逃げるんだ?』
『弦・・やだよ・・弦・・・!』
『うるせぇよ!こそこそこそこそ、隠れてやってたのは千鶴のほうだろ?!』



・・・!



どさっと・・・ベッドに倒された・・
上から見下ろされてる私・・

弦は、ふっと笑う・・。



『起きて、びっくりしなかった?』
『え・・』
『なんで、服着てなかったか・・聞きたい?』



弦・・が、別人みたいに見えた・・。
身体が、勝手に震えてくる・・


びくっと動いた私の
両手をベッドに押し付けて
弦が少し笑いながら見下ろしてくる・・



『し・・ないよ・・弦は・・そんなことしない・・。』
『っ・・・』
『知ってる・・私・・。弦は、優しいから・・・』



ぼすっ・・!



『ひゃぁっ!』



強く・・ベッドにこぶしを
打ち付けた弦・・。



私の顔の横に落ちてるこぶし・・
小刻みに
震えてた・・。



『俺が入院してた間、千鶴・・誠也とやってたの・・?』
『・・・・っ・・え・・?!』
『そ・・やっぱり、俺だけ空回りしてたんだな・・。』



俺がいくら頑張ったって
お前らは、勝手に両思いになってて

俺は・・、バカみたいに
1人、迷って迷って・・勝手に事故って
勝手に記憶なくして・・



あの日、俺が一体何してたのか
何考えてたのか
ぜんっぜんわかんないんだよ・・・!



私の頬に
ぽとりと弦の涙が
落ちてくる・・・


勝手に・・
私の手が動いてた・・


勝手に・・
つぶやきながら涙を流す弦を


引き寄せて抱きしめてた・・



『慰めなら・・やめろ・・って・・』
『わかんない・・でも・・離したくない・・、離したくないの・・弦。』
『千鶴・・・って』



ぐっと、起き上がった弦は
私を見下ろして、
困ったように笑った・・。



『結構・・残酷・・・。』



わかってる・・
こんなことしたって、
何かが変わるわけじゃない・・


もっと、
悪くなる・・

でも・・ね・・


この手、離せない・・
離せないの・・



泣きながら、
私を見下ろしてた弦が
ゆっくりと、近づいてくる・・



私は、目を閉じて
弦を受け入れた・・



私・・泣いてたのかもしれない・・
弦も・・泣いてたのかもしれない・・



2人とも


泣きながら・・

弦は私を求めて…
私は弦を受け入れてた・・

























ベッドから降りると
散らばった下着を身に着けた・・・。



『千鶴・・・・』
『わ・・たし、後悔してないよ・・。』




千鶴はバカだよ。



弦が、つぶやいた・・。
立ち上がって
服を着ると、
ベッドに座ってる弦を見た・・。



『これ・・ありがとう。花の絵も・・。大切にするね。』
『もう・・・これっきり・・?』



弦が言った。
ふるふるっと振った首。
手を伸ばして、そっと、
弦の頬に触れた。



『離れないよ・・・、私たちは、ずっと一緒。』
『今更・・・それ言う?』
『うん・・・でも、・・・・もう離れないから・・。』



私の手をはらって
弦は向こうを向いた・・。

ふり払われた手を
反対の手でギュッと、握った・・



『じゃぁ・・、帰るね・・?』



弦の返事はない・・・。
私はそっとドアを開けると
部屋を出た・・



『好きにしなよ・・・。』
『え?』
『許した…わけじゃない・・けど。俺は、変わらず・・・つるが好きだから・・。』



背中を見せたまま
つぶやいた弦。



『うん。』



返事をして
ドアを閉めた・・。
階段を下りると、
玄関が見えた。



ドアを開けて外に出ると
外は、真っ暗だった・・。






*********




コメント、

返事ができなくてすみません。


でも、いつも

読んでくださって

ありがとうございます。