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テーブルに行くと

椅子に座った私・・。






目の前にコーヒーが置かれ

向かい合わせに

弦が来た・・・。










『あ、これが例の絵ね。』

『あ・・・・ありがとう。』








受け取って・・

隣に置くと、

じっと、・・弦を見た・・。




弦は、コーヒーを一口飲むと

深く息を吐いた・・。







『げ・・ん・・、あの・・・』

『おふくろに聞いたんだ・・、俺、記憶ねぇのにお前らだけは、ずっと、気にしてたって・・。』







おふくろに聞いたら

幼馴染だって教えたって

だから、また

会いに来るだろうって・・


言ったんだって。



そしたら


俺・・ずっと

待ってたって。


今日は来ないのか?


今日も来ないのか?


ずっと

ずっと

そう言ってたってさ。




弦は、私を

じっと見つめた・・。








『どれだけ待っても、お前らは来なかった・・。』







足の上で

ギュって握った手。







弦は、待ってた。

私たちが来るのを、ずっと・・・







弦の話は

続く・・








『退院の日が決まったけど、おふくろは俺をあの家に帰らせたくないって、俺達はそのまま、おふくろの実家に帰ったんだ・・。』







私はじっと、

足に置いた手を見つめたまま

弦の声を聴いてた・・。







そんなある日、

俺の記憶が戻ったんだ。


驚いたよ・・


卒業式前日までの記憶しかないんだもんな・・・


突然、気づいたら

高校は卒業したってさ。


みんな働いてて

俺だけおいていかれてる

そんな、気になった・・・。








『それに。お前たちがいないんだもんな・・。』







からからから








車輪の音がする・・

気づいたら、弦は

私の傍にいた・・。







『俺、考えたんだ・・。』

『え・・?』

『なんで、卒業式の日に、お前たちと一緒にいなかったんだって・・。』







はっとした・・




顔をあげて、弦を見ると

弦の手が私の頬に添えられた・・。







『卒業式・・だぜ?俺たちが一緒じゃないわけがない・・。』

『げ・・ん・・』

『なぁ、俺。なんで1人だったんだ?』







お前ら、きっと女の子に呼び出された俺を置いて・・




どっか行ってた?







『なぁ、千鶴・・・。あの日誠也となにかあった・・?』







まっすぐ見つめられて・・

息ができない・・




顔も動かせない・・


弦の視線から

目が離せなくて・・


何にもできないまま


グイッと引き寄せられて




もう一度、

私はキスをされてた・・。




深く重なる唇・・

ぐっと押しつけられて

熱くて苦しい・・







『っ・・ン・・っ』







どんっと叩いた

弦の胸・・




その手は、弦につかまって

私の動きは止められる・・






何の抵抗もできないまま

何度も何度も

繰り返されるキス・・






・・・と




思い切り、どんっと

弦に押されて

私は椅子から転げ落ちた・・







『きゃぁっ!?』

『いつまで黙って・・されてんだよ・・・!』

『げ・・ん・・?』

『いい加減にしろよ!』







頭が痛い・・

くらくらする・・




無防備なまま

椅子から落ちた私・・




だんだん


私を見下ろす弦の姿が

見えなくなっていく・・







重く


体の上に


誰かがのしかかる


そんな気配を感じながら




私は、意識を手放した・・。








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