デジタル修正という仕事 | 意匠太郎☆デザイナーな日々

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かわいいモノゴト、かっこいいモノゴト、こだわりのモノゴトなどを、
デザイナー意匠太郎の価値観で綴ります。

デジタル写真の修正を頼まれることがあります。
背景の電柱を消したり、写真の歪み(パース)を直したり、古い写真の傷を消したり、人を合成したり...世の中には実に様々な理由で「修正された写真」を必要としている人がいるものです。

$意匠太郎☆デザイナーな日々-遺影

その中でも、フィルム時代の昔から必要とされて来たのが「遺影」の制作。

昔は、故人の顔写真に紋付を(切り貼りで)合わせたものを複写して、エアーブラシなどを駆使して修正した写真を遺影として使うのが普通でした。最近は葬儀も多様化してきて、いわゆるスナップ写真のようなものでも故人の意志を尊重して遺影として使うことも珍しくありません。ただ、そういった場合でも某かの写真修正は必要になります。

背景を(故人のお顔が引き立つような)シンプルで、バランスのとれた配色にする。
顔(頭)と服を別々の写真から選定して合成する。
傷やシワを取り除いて、祭壇に飾る大きさ(大抵は四切サイズ)にしても不自然にならないようにする。
そうした修正をいくつも行なって、最終的に違和感のない、自然な仕上がりの遺影をつくりあげます。

それは簡単なようでいて、実はかなり気を遣う作業。

考えてみれば、遺影ほど人に見られることを宿命付けられた修正写真は他にありません。

故人を偲ぶひとたちは、様々な思いで遺影に対峙し、時に数時間も見つめることもあるでしょう。
葬儀が終わった後、遺影は小さなサイズの額に入れられて仏壇を飾ったり、家族の手元に飾られて、ずっと残る写真となります。

そう考えると、遺影の制作はとても奥深く、責任ある作業なのです。