映画『ノーボーイズ・ノークライ』日韓プレミア試写会&舞台舞台挨拶に、妻夫木聡さん、ハ・ジョンウさんが登場
妻夫木聡さん、ハ・ジョンウさんという日韓の豪華スターが共演した、日韓合作映画『ノーボーイズ、ノークライ』の日韓プレミア試写会&舞台挨拶が行われ、キャストの妻夫木聡さん、ハ・ジョンウさんが登場した。
妻夫木「スカッとした気分で、映画を観終わって欲しかったので、みなさんの顔をみて本当によかったと思います。」
ハ・ジョンウ「この映画は言語の壁を通り越して、2人の人間が交流を深め仲良くなっていくお話です。日韓合作映画ということで、映画をきっかけに両国の関係もより深まればいいなと思います。」
Q妻夫木さん、全編に渡って韓国語のセリフに挑戦していますが、韓国語はどうでしたか?
妻夫木「とても難しかったです。ちょっとしたイントネーションの違いで意味が変わってきてしまうので。」
Qハ・ジョンウさん、日本語のセリフはどうでしたか?
ハ・ジョンウ「最初は難しいと思いました。しかし、語順は一緒だし撮影の合間に日本語の勉強をしていました。」
Qお二人はとても仲が良いですね。
妻夫木「通訳の方を含め、色々な話をしました。くだらない話も多かったのですが、一語一句訳してもらってました。一緒にお酒をのんだり、海に行ったり、自然と仲良くなりました。」
ハ・ジョンウ「彼はイタズラ好きで、とても面白い方です。本作の撮影中に、ホテルの前にある焼き鳥店に2人で通って、お酒を一緒にのみました。とても楽しかったです。」
Qアジアの純真をお二人で歌っているシーンが印象的です。ハ・ジョンウさん、日本語の歌詞ですが覚えてらっしゃいますか?
ハ・ジョンウ「日本語の歌はやはり難しかった。本番の振り付けもほとんどアドリブで、シーンが長かった事もあり大変なシーンでしたが、とても楽しかったです。」
Qどんな方に映画を見てもらいたいですか?
妻夫木「特定したくはないです。人は色んな事を考えて映画をみてると思いますが、『ノーボーイズ、ノークライ』に関しては何も考えずに感じてもらえたらいいなと思います。生きているだけですごく幸せなんだな、と思える映画になっています。」
ハ・ジョンウ「この映画は大人のための童話であると思います。大人が忘れかけていた本心、ピュアな気持ちを2人を通して思い起こしてほしい。この映画は誰がみてもいいと思います。」
~ここで、観客がそれぞれ事前に書いた画用紙を掲げ、その中から2人が質問に答えるティーチインが行われた。~
Q(観客)どの位ハングルの勉強をしましたか?
妻夫木「時間が本当になくて、大変でした。1カ月半で覚えたのですが韓国人の観客の方、伝わっていましたか?」(ここで、観客席から盛大な拍手が送られた)
Q(観客)映画のテーマの一つである家族について教えて下さい。
ハ・ジョンウ「私の演じたヒョングはとても孤独な青年です。しかし、いつのまにか亨を通して家族、友人を得ることができた。そして本当の家族のように大切な存在が亨だったんです。」
Q最後にお二人にも作品について一言書いていただきます。
ハ・ジョンウ「私は〈友情〉と書きました。この映画が終わって、私はとても大切な友だちができました。いままで日本に来日していた時とは違います。これからは日本に大切な友だちがいるんだと自信を持ていけます。」
妻夫木「〈めぐりあい〉です。この映画を通して、『考えすぎなくていい、生きていること自体意味を持っているんだ』と感じました。ハ・ジョンウ氏とお仕事ができたことは、本当に確率が低いことで、その中でのめぐりあいは一生続くと思います。それほどいい方に出会えました。俳優としてだけではなく、人としていい兄貴ができたなと思います。」
人気と実力を兼ね備えた日韓2大キャストの絶妙に息の合った演技は本作品の一番の魅力。
脚本を『メゾン・ド・ヒミコ』『ジョゼと虎と魚たち』など唯一無比の世界観を構築する渡辺あやが手掛けた映画『ノーボーイズ、ノークライ』は8月22日(土)、シネライズほか全国ロードショー!
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インタビュー&会見
『ノーボーイズ,ノークライ』
妻夫木聡×ハ・ジョンウ インタビュー
生きているだけで幸せなんじゃないかと思えるはず
NHK大河ドラマ『天地人』での主演をはじめ、様々な話題作に出演し、国民的人気を誇る妻夫木聡。韓国を震撼させたクライム・サスペンス秀作『チェイサー』で鬼気迫る演技を披露し、高い評価を得たハ・ジョンウ。日韓の若手トップ俳優が共演したのが、『ノーボーイズ,ノークライ』。繊細な人物描写で定評のある人気脚本家・渡辺あやと韓国の俊英キム・ヨンナム監督による日韓合作映画で、人生の困難と希望が描かれていく。
幼い頃に母親に捨てられた孤独な青年ヒョング(ハ・ジョンウ)と、家族を守るために必死で生きる亨(妻夫木聡)。ある事件に巻き込まれたことから運命共同体となり、絆を深めていく青年同士を演じた妻夫木とハに、映画について、そしてテーマである友情について話を聞いた。
──今回、日韓合作映画に出演して、どんなことを感じましたか?
妻夫木聡(以下、妻夫木):芝居でも人生でもそうですが、正解というものはないと思うんです。何が起きるか分からない世の中で何を楽しむか、どう生きるかはそれぞれの価値観による。だからこそ人生は楽しくなると思うのですが、今回、ハ・ジョンウさんと出会えたことは僕にとっては大きな財産となりました。言葉の壁を乗り越えて、互いに影響を与え合うことで、(映画も)面白くなったんじゃないかと思います。それから今回の出会いを通じて、アジアはもっともっと面白くなるという可能性を感じました。
ハ・ジョンウ(以下、ハ):今回、初めて日本の方々と近しく仕事をしました。その中で感じたのは、日本人の温かさでした。
撮影中は、通訳の方に一言一言、息づかいまで含めて逃さず訳していただきました。そうしているうちに、妻夫木さんのニュアンスや感じていることを、僕も感じるようになったんです。そこで実感したのは、人間というのは、情を持って親密に接していたら、言葉なんか関係ないということ。人間にはテレパシーのようなものがあり、それが化学作用を及ぼし、作品的にも良くなったのだと思います。
──共演してみて、お互いをどう感じましたか?
妻夫木:最初に感じたのは、お芝居に対して本当にストイックな方というイメージでした。役に自分を入り込ませる人で、僕のことをいろいろと知ろうとしてくれて、自分のことも知ってほしいとオープンになってくれる。それが、(俳優としてだけではなく)人間的な魅力にもつながっていると思います。
ハ:撮影の1カ月くらい前に衣装合わせで会ったのですが、健康的な明るい青年という印象を持ちました。一緒にいるだけで気分が良くなる人っているじゃないですか。そういう人です。
撮影中は、(ロケ地となった)新潟のあちこちを案内してもらい、夏だったので一緒に海水浴もしました。新潟はお酒が美味しいのでしょっちゅう出歩いて、休みの時間はほとんど一緒。運動も一緒で、自然に親友になるようなシチュエーションが揃っていました。だから、親友同士で一緒に合宿しているような感じでしたね。
──今回の役を演じる上で、どんなことに挑戦しましたか?
妻夫木:韓国語を話すことです。理解した上で話すということは、新しい試みでした。日本語以外のセリフで、自分の中に何かしらの感情がわいてくるかどうか、それを演技として表現できるかという不安が最初にありました。でも、現場でハさんと一緒に芝居をしたとき、まったく違う感情がわいてきたんです。言葉では表現しにくいのですが、それが気持ち良かったですね。刺激的な現場でした。
ハ:以前、米韓合作映画に出演してアメリカ人俳優と共演した時、外国人俳優との共演はリアクションが大切だと感じました。今回も、妻夫木さんと共演する上で何が必要かと考えた時、妻夫木さんのことをいかにうまく受け止めるかが大事だと思いました。なので、五感を全て開き、演技に集中しました。
──この映画は、男同士の友情を描いていますが、2人にとって友情はどれくらい重要なものなのでしょうか。
妻夫木:順位やパーセンテージで計ったことがないので分からないのですが、とても大きな位置を占めていると思います。
ハ:妻や恋人などには言えないようなこと、男同士でしか分かり合えないような世界を共有し、互いにねぎらい合える関係は素晴らしいと思います。今回の作品でも、こんなにラクに楽しく撮影できたのは、妻夫木さんという親友ができたから。彼が、僕を元気づける要素となってくれた。これは男同士の素晴らしい関係だと思います。
──「泣かない少年はいない」というのがタイトルの意味ですが、男泣きの経験は?
妻夫木:基本は泣かない方なのですが、ラストシーンが撮影の最後のカットだったんです。だからその気分のまま「お疲れさま!」となり、泣きっぱなしになってしまって(笑)。女の子みたいに泣きじゃくっていました。
ハ:僕もあまり泣いた記憶はありませんが、ラストシーンの後に妻夫木さんが泣いているのを見て、泣きたかった。でも実は、あと1シーンだけ撮影が残っていたので、グッとこらえました(笑)。
──この映画の見どころを教えてください。
妻夫木:自分には何もないと思っていたけれど、生きているだけで幸せなんじゃないかと思えるはずです。先入観を持たず、年齢も問わず、多くの人に見てもらいたいですね。
ハ:この映画は、大人のための童話だと思います。亨とヒョングの物語を通じ、忘れかけていた純粋な気持ちを思い出してもらえれば嬉しいです。
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「ノーボーイズ,ノークライ―泣かない男なんていない―」で親友となった妻夫木聡&ハ・ジョンウ
言葉や国境の壁を越えて、男たちの切ない友情が描かれた日韓合作映画「ノーボーイズ,ノークライ―泣かない男なんていない―」。現在、NHK大河ドラマに出演中であり、日本を代表する若手俳優と成長した妻夫木聡と、「チェイサー」の演技で一躍韓国を代表する俳優となったハ・ジョンウに本作の見どころなどを語ってもらった。
[インタビュー]
やっぱり人間って素晴らしいよねっていうところに達した(妻夫木聡)
物語は、韓国から日本へオンボロのボートで密輸品を運ぶヒョングと日本の海岸でそのボートを待つ亨が、交わすことばも挨拶程度だったふたりがあることをきっかけに手を組む。生きるために裏仕事に手を染める二人の男がぶつかり合いながらも徐々に友情を深めていく様が描かれている。
まず最初に、出演を決めた動機について聞いてみた。「初めて釜山国際映画祭に行った時に、韓国の人たちのパワーに触れてすごく感動したので、ぜひこの人たちと一緒に仕事がしたいとずっと思っていた」と本作でその夢が叶ったと話してくれた妻夫木。そして、脚本家が自身の代表作である「ジョゼと虎と魚たち」の渡辺あやであることも出演を決めた理由のひとつであると言い、彼女の独特な世界観に「一歩一歩、歩み寄っていく姿がなんか人間味が溢れている」と感じたという。
一方のハ・ジョンウは「最初は妻夫木さん、渡辺あやさん、キム・ヨンナム監督という名前を聞いたとき、とてもアンバランスな気がした」そうだが、そのアンバランスさがかえって気になり、自分にとっても新しいことへの挑戦になると興味が湧いたので出演を決めたそうだ。
妻夫木は全編に渡り流暢な韓国語を披露している。その習得法は「自分の台詞とハ・ジョンウ氏の台詞をすべて覚えて、自分の感情として一旦汲み取ってから吐き出していくという作業をしました」。またイントネーションが一番難しかったそうだが、「なによりも韓国語のノリを掴むためにとにかく人が話しているのを見たり聞いたりを意識した」とコツを教えてくれた。
妻夫木の韓国語はどうだったかをハ・ジョンウに質問すると「彼の韓国語での演技は、台詞の意味を100%理解しているからこそ、韓国語での感情もきちんと表現できていた。だから一度も変だと思ったことはないですね」と完璧であったと称えると、本人は照れながら「カムサハムニダ~(笑)」と笑顔で返した。
男の友情が描かれた作品ではあるが、「出会い」というテーマもあり、実際に本作で初めて共演した二人は、互いに出会えたことが大きかったと口を揃えた。また、「国境を越えて仲良くなり色んな可能性を感じた。問題はあると思うけど、やっぱり人間って素晴らしいよねっていうところに達した」と思いを熱く語る妻夫木。ハ・ジョンウも「この映画で聡という親友を得たこと。そして両国が未来にもっといい関係を構築できると思った」とこの作品を通じて素晴らしい経験ができたと語ってくれた。
「ノーボーイズ,ノークライ」は8月22日(土)より、シネマライズ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国公開。



