会社などにおいて、CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)の存在は当たり前になってきており、さらに、誰もがAIの有効活用を唱える中、CIO(Chief Insights Officer:最高情報責任者)やCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)も急増している。
しかし、そのCIO/CDOの存在自体に、果たして意味はあるのだろうかと、疑問に思えてならない。
CIOに必要な資質とは、
- 技術的知識とITリテラシー
- 戦略的思考と経営視点
- リーダーシップとマネジメント能力
- コミュニケーション能力
- セキュリティ意識
などが一般的である。
このうち、2〜5はまず間違いなく備えていると思われるが、1の「技術的知識とITリテラシー」だけは心許ないように感じるのだ。
今の時代の「技術的知識とITリテラシー」に必要なことは様々だが、そのインフラといえる「インターネットの歴史と現状」の理解は、最も重要なことのひとつである。
少し偏った例えになってしまうが、以下などの事項が該当する。
- インターネットがどうして約30年前に誕生し、当時は日本では誰も相手にしなかったにも関わらず、どうして今は重要なインフラという存在になっているのか?
- インターネットの約束事であるプロトコル(HTTPS、FTP、DNS、TCP、UDP、IP、ARP、Ethernet、Wi-Fiなど)やポート(FTP20番、SMTP25番、DNS53番、HTTP80番、HTTPS443番など)の重要性(特にセキュリティインシデントとして)理解しているのか?
- Webサイトのコンテンツは誤字・脱字・衍字だらけであるのに(オープンデータとしてクローリングされているにも関わらず)、どうして新聞などの紙媒体にはほとんどないのか?
- 世界中で問題視されているSNS(Social Networking Service:社会的ネットワークサービス)が、公的サービスとして提供されなかったのはどうしてなのか?
こういうことを、さらっと誰にでもわかりやすく説明できないようであれば、「技術的知識とITリテラシー」があるとは、とても恥ずかしくて口にできるものではない。
CIOやCDOを名乗られている方はぜひ、『CIO/CDOオブ・ザ・イヤー』の大賞を目指し、日々のリスキリング(特にインプット)に励んでいただきたいものである。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02940/00001/
最後に、これだけは絶対にやってはならないことがある。
それは、CEOやCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)などの資質は、「経営」と「財務」に関する最高責任者であることから、一般のカスタマーにとっては、なかなかわかりづらいものである(BS、PL、CFなどを深く読み込める人は除く)。
しかし、CIO/CDOの資質は、「情報」と「デジタル」に関する最高責任者なので、カスタマーは常にそのレベルを測ることが比較的簡単なのだ。
たとえば、SEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)がなされていなければ、たったそれだけで、その会社などの評価はガタ落ちするのだ。
したがって、安易に外面を気にした「充て職」のようなCIO/CDOでは自ら墓穴を掘っているということを、肝に銘じていただきたい。