━━━━━━━━━━━━━━ vol.72 2016.03.09 ━━
☆ジャスミンライス流星群☆ 【ヒカルチチのメルマガ】
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こんばんは。
ライオンズジムマネージャーで、篠原光のトレーナー兼父親の、シノハラです。
お元気ですか。
最近は朝かなり気温が高いですね。
六時に走りに行って、もう汗が出まくります。
もう春が来るんだなあと。
ヒカルが「ああ。あと三週間で一年生も終わりか」とぼやいた。
荒幡富士という、町が見下ろせる小高い丘で朝練をしたんだけど、町全体を濃い霧が覆っていて不気味だった。
ビルやマンションのうち、少し高い建物だけが霧の海から頭を出してた。
それを見ているおれたちは丘の上にいるのに生ぬるい空気に包まれた。
時間が大きく流れようとしていて、それに合わせようとして町の風景が生き物のように変化しようとしている。
花粉が飛んでいるはずだけど、最近のおれは大丈夫だ。
鼻の穴の内壁にワセリンを塗るといいらしいと、かみさんがどこかで聞いてきておれにやれと勧めた。
「花粉がワセリンにひっついてくれるから。ゴキブリホイホイみたく」と言うので、「そんなばかなことするかよ」と一応つっぱった後、やはりやってみた。
指にワセリンをつけ、鼻の穴に奥まで突っ込んでぐりぐり塗った。
あまりにまぬけな姿で、到底大人の男の所作ではなかったがこれが実によかった。
ここ数年でいちばんの花粉予防法だ。
くしゃみがまるで出ない。
花粉がゴキブリのように、鼻の穴でもがいているところを想像して楽しかった。
花粉症の方にはぜひ試してもらいたい。
それで、ヒカルは丘の上でシャドーなどをやったわけなんだけど、なぜか今日はあきらかに反抗的だった。
おれに対して反抗的だということではなく、練習に対して反抗的であった。
説明が難しいが、ともかくあまり丁寧ではなく、それについて指摘したが、あまり変化がなかった。
で、途中からおれもむかついてきて口出しするのをやめた。
聞く気がないやつには喋らない方がいい。
当然、おかしなフォームのまま練習を続けており、これを放っておくと、おかしなフォームが定着してしまう。
でも、おれも意地になってしまったので、これ以上何か言うわけにいかなかった。
我慢できず、「ばかめ」とだけ言ってやった。すっきりするかと思ったけどぜんぜんだった。
仕方がない。
そんな日もあるだろう。
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■顔
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家に帰り、フジテレビがついていてカトパンが出ていたので、しばらく顔をぽっと赤くして眺めた。
加藤綾子ももうフリーになると言うことで、朝の番組をつけてももう見れなくなるんだと思うと寂しくなった。
並んで喋ってる若い女子アナを見ながら、この子らがカトパンの後継者と言うことになるんだろうが君らにちゃんと勤まるのかいなと、厳しい視線を向けてみた。
でも、どんなことでもまあどうにかなってしまうのがこの世の中でして。
おれの寂しいと思う気持ちもすぐに薄れてしまうはずで。
毎日を忙しがって過ごしているうちに、加藤さんもやがて年を取ってしまうだろう。
そんなふうにテレビの前でぼうっと突っ立っていたら、ヒカルがシャワーから出て制服に着替えてきた。
かみさんが「体重は?」と聞き、ヒカルが「41.2」と答えた。
かみさんは「あら」と心配そうに言い、おれは何も言わなかった。
テレビ画面はコマーシャルになり、北川景子の横顔がどアップで映った。
何のコマーシャルかは知らないけれど、こ、これはなんと美しい顔なんだろうと思った。
じっと見ていると吸い込まれそうだ。
美し過ぎて感動すらしてくる。
その後も次々とCMが流された。
いろんなタレントやスポーツ選手の顔が映された。
実にいろいろな種類の顔の形があることに気づく。
顔が出てくるのを眺めているだけでうれしくなったり楽しくなったり、逆に悲しくなったり心細くなったりする。
人間の顔にはたいてい、目が二つ並んでおり、鼻があり、鼻の穴があり、唇があるわけなんだけど、たかがそのパーツの大きさや位置や角度がほんの数センチ数ミリ違うだけでおれの気持ちが変わる。
顔は不思議なものだと思った。
ひとをいい気持ちにさせる顔は優秀な顔とも言え、そうでない顔に比べると価値があるということになるだろう。
自分が他人にどんな印象を与える傾向にある顔なのか、知っておくのは社会を生きる上で大事なことだと思う。
自分の顔の作りが素晴らしいと思えないならば、違う部分で優れたところを早く探り当て、磨き上げるという覚悟を持たなければならない。より早く、だ。
顔の作りが素晴らしい人は生まれ落ちた時点で周囲より有利なので、自分が特別に扱われることに幼い頃から気づいており、表情やファッションなど外見が映えるための技術をこつこつ磨き上げていると思う。ひとりで。
そしてやがて、いい顔の人間同士が、顔のよさで戦う場面があるんだろう。
その頃、あなたは何をもって戦うのか。
美しい顔、に匹敵する武器を備えることができるか。
ただそこにいるだけで価値がある美しい人よりも劣った存在。
そんなの嫌だよね。
そんなことを考えているうちに、ヒカルは学校へ行ってしまった。
かみさんも会社へ出かけていった。
余談ですけど、かみさんは昼に病院に行き、インフルエンザと言われました。
A型だそうです。
自分ではBっぽいAだと思う。節々が痛い。と言いながら早退してきて、これでしばらく生きて。とおれに五千円くれて寝てしまいました。
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■頭
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ヒカルは学校へ行った。
最近はずっと学年末テストのための勉強をしていた。
一二学期の定期テストは、英語や国語など平均よりも二十点くらい上の得意科目があった。
かと思えば、理数系は平均点より二十点くらい低かった。
合計得点はあまり納得いくものではなかった。
それで今回、三学期はいつもより少し早い時期からテスト勉強を始めていた。
毎晩、ジム練習が終わってから一二時間は机に向かっていたし、土日は六時間以上やっていたこともあった。
それで、まあ今回はいつもよりは自信があると言ってテストに臨んだ。
本当に集中して勉強していたし、座ったまま同じ姿勢でぴくりとも動かず、居眠りしているのかと思って顔を覗き込むと、目を血走らせ猛烈にドリルをやってたりした。
ある日の午前、おれがパソコンで何かの書類を作っていて、プリントアウトしている間にコーヒーを入れ、それをゆっくり飲み、書類を大量コピーするために近所のドラッグストアへ行き、帰ってきた。それはだいたい三時間くらいだったが、机に向かってうつむく少女の銅像のようにヒカルが朝からずっとそこにいて勉強していたのに気づいてびっくりした。
おれは中一の頃、勉強に対してこれほど燃え上がった記憶はない。
おれの娘すげえと思い、いったいどれだけジャンプアップするんだろうかと答案が返ってくるのをわくわくして待った。
それで、昨日までに英国数理体の五科目が返ってきた。
結果は、全教科65点くらいで、平均点より10点くらい上だった。
苦手の理数系を克服し、代わりに得意の文系が少し下がった。
おれは思った。
こいつはひと言でいうと、努力家。
おれもかつては中学生であった。
おれの行ってた学校はちょっと特殊で、全県から成績優秀な子供が入学試験を受けて入ってきた。
そこで勉強ができるやつをうんざりするほど見た。
中でもすごいやつが何人かいた。本物のすごいやつだ。
そいつらは努力家というふうにはとても見えないのに、一度見聞きしたことを忘れない。
やつらは授業をさらりと聞き取り、さらりと復習し、さらりと高得点を取った。
おまえ何時間くらいテスト勉強したのかと尋ねると、別にと言った。
嘘つけ。秘密を教えろと言うと、別に普通だよと言った。
やつらは優秀なもの同士で集まり、テスト前だというのに、昨夜のプロ野球中継について話して盛り上がったりしていた。
うちの母親などにそのことを言うと、「そんなのは周りを油断させるために何もしていない振りをしているだけに決まっているでしょ」と言っていたが、たぶんそういうことではない。
突き抜けた才能というのは実際に自分の目で見てみないと信用できない、ばかばかしいほど非現実的なものである。実際に目の当たりにしても、本当に信じていいものかわからないくらいに突出している場合だってある。
大抵の人間は子供の頃、そういう特殊なやつがすぐ隣りにいることを知らない。
特におれの行ってた中学のような場合は、各小学校の優等生ばかりが集まってきていたので、入学当初は誰もが自信たっぷりに見えた。
しかし、一学期の中間テストが終わり成績が発表されると、みんな顔色を変えた。
一年生の夏休みまでに数多くの生徒が、街の学習塾へ通い出した。
どんなことでも、努力すればある程度までうまくいくようにできている。
放課後、部活が終わった後、夜遅くまで塾で勉強して、みんなやっと一定の学力を保った。
塾費用は高額だったようだが、おれの学校に来るやつは金持ちが多かったし。
二年になり、三年になった。
進路の話がよく出るようになった。
このような学校なのでほとんどの生徒が高い学力レベルにいるだけど、中でもより成績優秀者が目立つようになる。
そういうやつは、聞いてみると、塾も行かず、家庭教師もつけず、部活では部長だったり、生徒会役員だったりして、性格はやさしいし、話はおもしろいし、一緒にいるとおれまで力が湧いてきたりした。
常に余裕が感じられて不思議だった。
もともと能力がある人間というのは必ずいて、そいつらは義務教育程度の内容ならばたいした苦労もなくぬるりと頭に滑り込ませる。他人と比べて簡単に高得点を取れることに気づき、勉強をおもしろいと感じて、さらに磨き上げようという気になるのだと思う。ひとりの世界で。
結局、数年後、そいつらはすんごい大学に行って、そこでまた高いレベルでの戦いがあると思うんだけど。
何の話だったか。
そう。
顔が少しずつ違うように、脳の作りもみんな違うわけで。
ヒカルは今回の学年末テストでも劇的に向上することはなかった。
でも、本人の言うには、苦労して努力して、少しでもわかっていくのが楽しいのだそうだ。
だから、苦手な科目に時間を割いて、得意なものはあまりやらなかった。だそうだ。
おれは違った。
手っ取り早く結果が出ないものに関してはまるで興味を持てず、得意なものばかりやった。
何が正しいとかまちがってるとか言う気はないけど、いろいろな種類の頭があっておもしろいなあと思う。
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【編集後記】
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
数年前からフェイスブックのおかげで、中学時代の同級生とたまに会います。
中学時代のことをよく覚えているやつが多いけど、おれはあまり覚えていない。
おれはあの頃、自分のことを自分で決める能力があまりなかった。
親が厳しく、制約が多かったので、そういう訓練ができてなかった。
そのことですごく自分に自信がなかったのだと思う。
だから、あまり中学時代のおれが好きではない。
自信があるやつは子供の頃のことを鮮明に覚えていて羨ましいなあと思っていた。
ところが、そうではないらしい。
大人になってからあいつらと何度か会うようになって、だんだん打ち解けてきて、ぶっちゃけることも増えた。
みんな自分が育った環境が嫌いで、どうにか逃げ出したくて、というような話で具体的に家で親にどんなつらい目に遭っていたかと言う例を聞かせてもらえるのがひじょうに楽しいです。
あんなに裕福で、どんなことにも積極的で楽しそうに見えた同級生が、毎日うんざりしてむかついて過ごしてたなんて。
でも考えてみればそんなの当たり前だ。
向上しようと努力している人間は、マイナスのイメージを表に出さない。
おれたちはみんなよく見せようと必死だったし、それができただけでよかったと思う。
おれの娘にもがんばってもらいたいし、おれはおれのあの頃のことをなんとなく思い出しながら彼女を眺めているのがひじょうに楽しいです。
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春は冷たい雨が降ってくることもあり、いろんなことがどんどん変わるけど、胸を張って笑っていよう。
メルマガの感想や質問などどしどしお待ちしてます。
それではまた。
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