初めに

この文章は、題の通りアクションの上達しない人間がエルデンリングをプレーした体験を綴ったものです。アクションゲームを愛好する読者の皆様、および兼ねてよりフロムソフトウェア製の俗称「死にゲー」を愛好する読者の皆様におかれましては考えがたいプレー方法や思考に不快感を抱かれる可能性があるため、以後に目を通される場合どうか冷静さを保って頂きますようお願い申し上げます。

また、筆者は同タイトルの世界観・美術・音楽に興味を惹かれて購入しておりアクション要素には余り興味がなかったためアクションの上達を目標とせずプレーしておりますアクションの上達法などについての指導・指摘は必要としておりませんのでご了承ください。

本文

プレーに至るまで

筆者は元々、ダークソウルⅢやbloodborne、SEKIROなどのフロムソフトウェア製アクションゲームをプレー動画により知り、興味を持っていました。未プレーでもbloodborneのサウンドトラックを購入する程度には好んでいましたが、一方で本編のプレーには二の足を踏んでいました。アクションゲームのプレー経験といえば「モンスターハンター」シリーズの一部と「大乱闘スマッシュブラザーズX」が少しあるかないか程度であり、また腕前についてはモンスターハンター2ndGで下位の最終クエスト、モンスターハンターWorldで上位のベヒーモスに挫折する程度でした。スマッシュブラザーズについても知人に3タテされて意欲を失ったという記憶があり、エルデンリングについてもプレーすることはないだろうと思っていました。

しかし、エルデンリングについての風説として「ソロプレイでも協力キャラクターを呼び出せる」「支援システムを利用したら史上最も易しい」という旨の内容を耳にしたことで購入に踏み切った、というのが理由の半分になります。もう半分の理由は、過去作であるダークソウルシリーズとSEKIRO について「サウンドトラックは予約限定盤付属特典しかなかった」という情報を知っていたためソフトウェアが抱き合わせのセットとして買う以外正規の購入方法はないと考えていたためです。こうした事情もあり、購入から三ヶ月ほどはエルデンリング本編に手をつけられませんでした。兄弟からの後押しもあり、発売から半年ほどして漸くプレーを開始しました。

使用プラットフォームはSteam、コントローラーはキーボードとマウスになります。

はじまり-リムグレイブからストームヴィル城、リエーニエ、ケイリッド-

こうして、筆者は狭間の地に足を踏み入れました。一番初期ステータスが高いという理由だけで密使を選択しましたが、終わってみれば悪くない選択だったと思います。低いステータスがないということは特化ビルドを目指す際にはデメリットですが、そもそもオンラインプレイをするつもりもなかったためレベルを制限する理由もなかったためむしろ多少ステータスを上昇させることで複数の武器・魔法を使用できるメリットにしかなりませんでした

プレー開始当初は攻略情報を閲覧しないように心がけながら進めていました。漂着墓地からリムグレイブに足を踏み出した瞬間や関門前の廃墟脇を回る緊張感、不穏さを纏う嵐の丘……最初から全てが新鮮で、幻想的でした。訳も分からぬまま霊馬トレントで走り回り、城壁伝いにストームヴィル城内部を目指していたはずがリエーニエの断崖に到着していたり、逆方向に進んでいたら燻り教会の手前でいきなり下馬させられて犬とアナスタシアに追い回されたり……進めば進むほど広がりを見せる世界に、すっかり囚われていきました。

それでも情報というのは耳に入ってくるもので、手に入れた攻略情報を使って大老竜グレイオールは背後から只管に叩いて倒しました。入手したルーンでHPを上げて、辿り着いた大竜餐教会で腐敗ブレスと竜氷、そしてグレイオールの咆哮を入手してからは少しずつ祈祷を主な攻撃として用いるようになっていきました。元々爬虫類系のクリーチャー全般が大好きであることもあって、見た目としても気に入っています。レベリングについては複数の情報が飛び交っていて、リムグレイブ・リエーニエ・ケイリッドのエリアボスをいずれも撃破していない時点で可能なレベリングとしては当初ゲール砦のガンメン戦車へ落下攻撃して倒すレベリングが紹介されていました。ただそこはアクション下手、10回近く試行しても上手くいきません。そんな中調べて知ったレンの魔術師塔下の銀雫球トラップ避けによるレベリングで80までレベルを上げていきました。多く時間が取れても一日3~4時間がプレイ時間の限度になる中ではレベリングの恩恵は貴重でした。成長速度が平均以上に速い人間ならば話は別ですが、落下攻撃一つ満足にいかない自分のようなプレイヤーにとってレベル上昇による火力と生存性の上昇は死活問題です。レベルが60を超える頃になるとようやく、リムグレイブ各地に存在するボスたちを倒すことができるようになっていきました。それでも動きの速い敵に接近されるとあっという間に死亡してしまうため、出の速い攻撃祈祷である「雷の槍」を入手するためリエーニエの絵描きのボロ屋下に構えているローデイル騎士に腐敗ブレスを吐いては逃げ、吐いては逃げ……と繰り返してなんとか倒しました。雷の槍には終盤にもお世話になりました。

Lv.が80程度に到達したタイミングでマルギットとゴドリックへ挑戦しました。当時は腐敗ブレスが弱体化されておらず振り得な祈祷であったため開幕には毎回腐敗ブレスを使用していました。殆どの初心者が苦戦したというマルギットを腐敗させてからターゲットを遺灰に任せて逃げている内に倒してしまったのはいい思い出です。なんならむしろ城内の失地騎士の方が厳しく感じた記憶があります。ゴドリックも同じ調子で撃破し、大ルーンを取ってレアルカリアへ……などという考えは甘かったのか、神授塔への道程をバリスタの雨に絶たれます。無念。バリスタが有する吹き飛ばし・起き攻め性能の強さにカチ切れてPCに当たった結果ブルースクリーンを出し、「このままではゲームで得られる体験より財布の損失が大きくなる」と判断してエルデンリングを一旦アンインストールすることに。以後一年強触らない期間が続きます。

導きの下に-アルター高原から灰都ローデイルまで

転機があったのは2023年秋。Youtubeのアルゴリズムが変わったのか、おすすめ動画欄にエルデンリングの攻略情報動画が浮上してきます。バリスタによる起き攻めに嫌気がさして離れたものの、世界観や美術・音楽については以前好みから外れぬまま。興味を惹かれて見ているうちにとある動画に行きつきます。それは、竜餐祈祷の性能比較動画。この時点ですでに腐敗ブレスは下方修正済みとなっていたものの、上方修正により強化された祈祷もあることをここで知ります。その中でも特に目を引いたのは竜咬。消費FPが1/3程度まで低減された上に体勢削り値・体幹削り値共に最高峰、さらに解説者が放った一言「この祈祷は全攻撃祈祷唯一のスーパーアーマー付与である」。一度祈祷主体で進めたプレイヤーなら嫌でも体感することですが、祈祷は全体的に出が遅いため一度懐に入られると基本タコ殴りにされて死にます。しかし接近戦になっても多少の攻撃なら踏み倒せる手段、それがスーパーアーマーです。実際この後使用していった感想としてはそれでも大型の敵以外には振りづらいというのが正直なところですが、とはいえインファイトに持ち込まれても強引に巻き返せるというのは魅力的。ヴァレーのイベントがオフラインでも進められるようになっていたことやモンスターハンターライズで最後の大型アップデートが終了してやることがなくなったこともあってプレーを再開することになります。

リムグレイブの神授塔を無視してレアルカリアを進めたところ、割とすんなり踏破。カーリア騎士のムーングラムや石肌の白王に何度か撤退させられたものの、攻略を見ずとも誘導に乗って大書庫まで到達。二回目の挑戦でレナラを撃破。アルター高原へ駒を進める段階になります。また、この頃から積極的に攻略情報へ触れるようになっていきました。アルター高原から祝福王モーゴットまでの誘導は巧みなもので、攻略情報を入手しなければ進めない状況に陥った場面は王都への侵入と王都西城壁への到達の二箇所のみでした。また、攻略情報を見ていない状況でも王都外郭戦場跡への到達およびグランサクスの翼への登攀は済んでいたため、自力で戦場跡脇にある岸壁に隠れた階段や王都城壁の隙間に気づいたプレイヤーはすんなりと通過したことと思います。ローデイル進入時にはレベルは120台に入っていました。敵の強さについては正直道中が強すぎるようにも感じていましたが、振り返ってみれば道程の中でも屈指の良い思い出になるダンジョンでした。美しい景色の中、数いる騎士たちや3体も配置されたボス級MOBを踏破するのはまさに冒険に相応しい体験でした。それだけに、クリア後には巡ることができなくなるのが惜しく感じるくらいです。

ローデイル攻略後、禁域から巨人たちの山嶺へ。禁域には昼間に到達しましたが、昇降機前で襲来する黒き剣の眷属に蹴散らされます。レガシーダンジョン直後であったこともあり、「フィールドボスも倒さず抜けてよい」という思考が抜けていたため3回ほど挑んだ後にスルーして巨人たちの山嶺へ到着しました。巨人たちの山嶺で見る空の美しさは息を吞むほどのものでした。かつて旅客機から高空15000mで見た天地の狭間と同じか、それをも超えるおとぎ話の星空……そして、霊馬に乗って只管に駆け抜ける中遭遇するトロル達MOB敵や霧の中の飛竜襲来……エリアボスの炎の巨人こそ印象が薄かったものの、クリア後にも度々訪れては景色を楽しみ、MOBに追われ倒される事を楽しんだフィールドでした。

世界の終焉を指し示すような光景の巨人の火の窯から崩れゆくファルム・アズラへ移動した時には、これまで進んできた道筋が終わりに近づいていることを肌で感じました。これまでフィールドボスやダンジョンボスとして遭遇してきたファルム・アズラの獣人たちや古竜たち、竜のツリーガードまでも当たり前のようにそこかしこを闊歩する有り様には驚嘆したものです。エリアボスの黒き剣のマリケスについては出せる火力が上昇していたこともありスーパーアーマーでゴリ押してしまったので、マリケスの体力の低さも相まって初見であっさり抜けてしまって強さが記憶に残っていませんが、それでもなおその有り様は心に残るものでした。ダンジョンクリア後も獣人の大曲剣マラソンなどで訪れましたが、リポップしないMOBとして配置された坩堝の騎士や古竜たちを発見して撃破することやリポップする古竜の顔を拝みにいくことなど楽しみが多く、また失地騎士や獣人の骸骨兵など真正面からやりあうと時間のかかるMOBたちも対処法を理解することで突破が容易になること、そして凶悪な状態異常がないこともあってクリア後に目的もなく遊んでいるダンジョンの一つとなりました。そんな探索要素の一つである最後の竜、プラキドサクスについては後述します。

マリケス撃破により死のルーンが広まった後灰都ローデイルへ移動した後は駆け抜けるように進みました。百智卿との対決を経て最初の王に見えた時は、思わず武者震いしたのを覚えています。ネフェリ・ルーの助力もあり存外すんなりと抜けた玉座の先でエルデンリングこと黄金律・ラダゴンとの対面です。

ラダゴンの感想を一言で表すなら「真っ当に強い」でしょう。高い体勢値と強靭値に攻撃範囲の広さと高い火力、隙の少ない動き……死亡した回数は第二形態であるエルデの獣よりも多かったと記憶しています。ラダゴンに加えて第二形態が存在することもあり直前で200近くまでレベル上げをしてなお突破は難しく、抗聖の干し肝や祈祷バフを重ねられるだけ重ねて臨んでなお幾度か敗れ、干し肝のクラフトアイテムが切れる直前で漸く討ち取ることができました。難敵ではありましたがラダゴンについてはアイテムやレベリングによる恩恵も動きに慣れることの恩恵もそれぞれ感じる良い体験ができました。エルデの獣については動きの改修後だったため遠ざかられるストレスを感じることはあまりなかったのですが、動きが緩慢な上遠距離攻撃主体であったため「殴り合いの楽しさ」のようなものが感じられたラダゴンと比較すると見劣りする印象でした。バスケットボールでいうところの「ダンクやレイアップでの得点を狙わず3ポイントを狙う事に終始している」感じに近いでしょうか。

色々と書き連ねはしましたが、復帰後はエンディングまでの道のりはほとんど楽しく通過させてもらいました。攻略情報へ積極的に触れつつしっかりとレベリングをして、遺灰も活用することで往年のドラゴンクエスト5よろしくコマンドRPGめいた遊び方をすることができました。

攻略を手に-サイドマップ、ダンジョンたち-

皆さんご存知の通り、エルデンリングにはストーリー攻略とは直接関係しないサイドマップやダンジョンが存在します。サイドマップにはデミゴッドや古竜など伝説のボスたちが、地下墓や英雄墓、坑道といったダンジョンには世界観と関係あったりなかったりするボスたちやMOB敵が配置されています。ダンジョンにはフレーバーとしての意味を見出せないボスも多いものの、遺灰やユニーク武器など攻略において役に立つアイテムが配置されていることも多いため、有用なものが手に入るダンジョンは優先して回りました。特に遺灰はソロプレイなら極めて有用……どころか、慌てると回避が上手く振れないタイプの人間にとっては必須と言える代物なので、真っ先に回収して回りました。竜餐の印と失地騎士・オレグを入手できる辺境の英雄墓や、タンクとして優秀な古竜の騎士・クリストフを入手できる貴き者たちの英雄墓は挑戦可能になった段階ですぐに攻略しました。

一方で、サイドマップの多くは挑戦可能となってから時間を置いて挑戦することが多くなりました理由として、状態異常耐性の要求があります。深き根の底はマップ全体が死の状態異常のオンパレード、聖樹の支え・エブレフェールまでの道のりは朱き腐敗、エインセル河は死と腐敗の二段構え、モーグウィン王朝は出血……といった具合に、対策の難しい状態異常が蓄積しやすい作りです。加えて、サイドマップのMOB敵は動き自体が強いものが多い印象です。深き根の底であれば大弓でこちらの射程外から吹き飛ばしつきの高火力で起き攻めを仕掛けてくる霊廟騎士、エブレフェールであれば単純に機動力の高い聖樹騎士に腐敗の眷属と強靭削りの高い連打に移動速度の速さを兼ね備える凶MOBこと王族の幽鬼、モーグウィン王朝なら地上戦最強格の血病鴉……王都ローデイルも大概でしたが、王都ローデイルの難しい部分をさらに強化したようなマップが多いため、ストーリークリア後のステータスでも気軽には出歩けません。それでも、モーグウィン王朝にはローデイル到達後早々に突入しました。理由はもちろんレベリングです。プレイ済の方ならご存知のことと思いますが、エルデンリングの攻略において最も普遍的に重要となるステータスはスタミナになります。火力は個々の技能で異なり、FPの消費量も主な攻撃手段によって異なります。しかし、スタミナはどんなビルドでも必須となります。相手の攻撃をロリで躱すにしろ、あるいは盾で受けるにしろ、スタミナを消費するシステムです。さらに攻撃にもスタミナが必要となる以上、スタミナとは行動可能な時間と等しいわけです。加えて、装備できる物品の重量までスタミナの基準となる持久のステータスで決定されるとなれば、成長させない手はないわけです。幸い、再開した頃にはヴァレーの個別イベントがオフラインでも進行可能となっていたので、多少NPC戦に苦戦した以外は難なく到達できました。あちこちが赤く染まった鴉やしろがね人から逃れながら王朝へ至る崖路へ到達し、早速血病鴉を崖に誘い落とすレベリングを開始。レンの魔術師塔におけるレベリングと比べるとその効率は驚くべきものでした。この頃にはレベルは100手前まで上昇していたため、レンの魔術師塔では30分間トレントと走って2~3レベルの上昇がせいぜいでした。ところが鴉落としでは、30分も周回すると10レベル強上昇しました。既にダッシュコマンドと方向転換コマンドを押す指の筋が悲鳴をあげていたことを鑑みても、この時点でルーン獲得方法を切り替えるべきであったと思います。

エインセル河とシーフラ河、およびそれらに付随する永遠の都を除けば、一番初めに攻略したサイドマップは火山館でした。屋根の上から雨あられと降り注ぐ毒壺と突然現れる乙女人形に苦しみこそしましたが、ミケラの聖樹や深き根の底と比べると凶悪な状態異常が少ないため最深部への到達はもっとも早くなりました。ボスであるライカードには特に苦戦せず快勝。もし二週目をプレイすることがあれば、大蛇狩りなしで戦ってみるのもよいのかもしれません。

火山館と僅差で深き根の底の最深部である死王子の座にも到達。ドラゴン系のボスはなるべく楽しみたいと考えていたため、死竜フォルサクスにはノーダメージ縛りで挑みました。最初こそ火炎の範囲攻撃と死の雷撃による即死に戸惑いましたが、ノーダメージ縛りゆえに動きをしっかり学習したことと他の縛りを設けなかったことで、前方中距離を保ちながら飛び道具で戦うとかなり楽しいボスであることに気づけました。一方、名もなき永遠の都を挟んで死王子の座の対岸に位置する立体交差した黄金樹の根には、霊廟騎士による狙撃バジリスクの死をもたらす霧とによる波状攻撃に嫌気がさして近づくのが遅れたため、フィールドボスである坩堝の筆頭騎士シルリアに邂逅したのはミケラの聖樹を除いたすべてのマップへ到達した頃になりました。

モーグウィン王朝の最深部へは聖別雪原への到達後に向かいました。単純に視界が悪い王朝廟中腹への洞窟を避けていたこともありますが、苦手な人型MOBである血の貴族が物凄い勢いで出血を入れてくることが要因として大きくあります。個人的には実質の最難所でした。エリアボスである血の君主モーグには浄血の結晶雫を使用して挑みました。それでもなお、高い火力と強靭でダメージ交換はほぼ互角でした。第一形態で遺灰を使うと第二形態移行時に全員消えてしまうため、バフと竜咬を用いて第一形態をなんとか単騎で削った上で遺灰を呼び倒しました。雰囲気もよく、レベルを300手前まで上げてなお幾度か敗れる程度には強いボスであったため個人的にはかなり楽しませてもらったボスでした。

ミケラの聖樹へ挑戦したのは全エリア中最後になりました。典礼街オルディナは封牢へ入る前に敵霊体の位置を全てマーカーで記録して対策しようとしていました。実際は封牢へ入る前に出現している霊体は封牢内の敵と位置が一致しないため敵の配置数しか把握できない仕様だったわけですが。挑戦した際はクリア・周回済みの友人と音声通話をしながら攻略したため、しろがねの射手から矢が飛んでくる位置や封印の位置をその場その場で案内してもらったため死なずに抜けることはできましたが、もしあのサポートがなかったら今でもミケラの聖樹へ到達していたかは怪しいと感じます。オルディナの先にあった聖樹の高枝エリアは空裂狂火で信託の使者(小)たちを倒しながら中盤まで進み、友人の案内の下信託の使者(大)のシャボンを避けて抜けました。ここの大使者からのシャボンは今でも単独では避けることができません。左右にある枝は今でも未探索のままです。

聖樹の支え、エブレフェールも友人の案内の下で駆け抜けました。最下層まで到達した後に何回か訪れてアイテム回収を行いましたが、アイテム回収以外で訪れることはほぼありませんでした。単純に敵の火力が高く、また耐久力も高い上に遠近の波状攻撃がきついので探索する余裕がないためです。腐敗した化身も双方撃破はしましたが、二週目以後で触れることはない気がします。ただ、重要アイテムの回収のみであれば単独でもなんとかできる難易度だったのは救いでした。

 

一対の極点-プラキドサクスとマレニア-

サイドマップやミニダンジョンなどに配置された非必須ボスは単体でもプレイヤーを選びそうなボスが多く感じましたが、その極点がプラキドサクスとマレニアであると考えています。

プラキドサクスは挑戦する上で新たにマップを攻略する必要がなく、しかし通常プレーする上で意識することのない足場の下を落下の危険と隣り合わせで長距離進んだ先で漸く挑戦できるという形式になっています。最寄りの祝福からの距離が遠い上に道のりの足場も悪く、マリカ像もないため再挑戦の手間がかかる作りです。戦闘面で言えば、全ての耐性が高い上に体力も多いためかなり固く、範囲攻撃や無敵時間、高火力の長距離ブレスなどギミックじみた攻撃が多い代わりに体躯が大きく動きは鈍重であるため攻撃を当てやすくなっています。耐性の高さはこちらの火力が高ければ高いほど影響を感じづらく、範囲攻撃や高火力のブレスはこちらのHPや耐性を上げるほど死亡確率を下がるという形で対処が容易になること、そして戦闘時間に対して死亡する回数が少なければ少ないほど攻略が容易になることからレベリングの恩恵を非常に受けやすいボスであるように感じます。反面、範囲攻撃であるブレスの判定が長いためローリングやステップでの回避が困難であること、こちらの攻撃を当てることは非常に容易であることなどからプレイヤースキルによる恩恵は非常に低くなっており、プレイヤースキルに関係なくレベルが低ければ低いほど攻略の選択肢が狭まり難易度の上がるボスであると予想できます。

一方でマレニアは挑戦する上で高火力のMOBが配置された複雑なマップを複数攻略する必要があり、しかしバトルエリアの前は中規模のホールからシンプルで短い階段が伸びているだけという形式になっています。一旦死亡しても最寄りの祝福は階段を挟んで隣接する祝福であるため再挑戦が容易な作りです。戦闘面においては、聖属性と腐敗の状態異常を除けば終盤の非必須マップボスとしては非常に耐性が低いためダメージが通りやすく、攻撃のほとんどは剣を用いた単体攻撃である代わりに全ての攻撃モーションが機敏かつ連続し得る上で遠距離攻撃の入力に対して回避行動を取る挙動をとるため攻撃を差し込む隙が少なく当たりづらくなっています。HPゲージが一度0になってから第二フェーズへ移行することやマレニア自身がリゲインを持っていることなどからこちらの火力が上がることで攻略時間が短縮されることはあっても難易度はほぼ変わらず、物理属性の高速連続攻撃が主体である上にリゲインを有しているためプレイヤーのHP量や物理以外の耐性値、盾などの防具は攻略に大きな影響を及ぼさないためレベリングや装備の恩恵は比較的低く感じました。反面、大技である水鳥乱舞の判定が見た目よりも狭く短いためしっかり練習したプレイヤーであればローリングやダッシュを用いて安定した回避が可能であること、複数の攻撃モーションが連続する場合としない場合がある上一部モーションには怯み・吹き飛ばしによるキャンセルが不可となるスーパーアーマーが付与されているため個々の攻撃モーションに対して理解を深めて回避と攻撃タイミングや立ち位置の最適解を模索することが攻略する上で必須となるためプレイヤースキルの上昇なしでの討伐はほぼ不可能と言ってよく、レベルや装備に関係なくアクションゲームにおけるプレイヤースキルが低ければ低いほど選択肢が狭まり難易度の上昇するボスであると考えられます。

また、プラキドサクスは無敵時間を介した長距離の移動や自身の周辺にブレス・雷撃による範囲攻撃を複数持っていることから近接攻撃に対して中∼遠距離攻撃の有効性が高く、マレニアは強いホーミング性のある水鳥乱舞の存在や的の小ささなどから遠距離攻撃に対して近接攻撃の有効性が高いことも対照的です。あまりにも対照的な点が多いため、それぞれレベリング重視のプレイヤー人口とアクション重視のプレイヤー人口を可視化するために試験的に実装したボスであるとしても何ら違和感はありません。

販売本数から考えて、フロムソフトウェア製アクションゲームにエルデンリングで初めて触れたプレイヤーが多いことは明らかです。そのため、エルデンリングの各エリアボストロフィー取得率は新規参入プレイヤーのエリアやボス攻略の傾向を反映すると考えられます。マレニアのトロフィー取得率よりプラキドサクスのトロフィー取得率が低いことから、新規参入したプレイヤーの中核を成す層はアクションゲームにおけるプレイヤースキル上達を重視しアクション以外のコストを敬遠するということが示唆されます。レベリングや防具性能の上昇を重視するプレイヤーは新規参入者でも少数派と考えてよいでしょう。仮にプラキドサクスとマレニアを対極のボスとして実装したとする場合、今後はマレニアと同系統のボスを軸として開発する方向に舵を切ることが正解となるのでしょう。

プレー後の感想

アクション重視のプレイヤーほどアバターの見た目を気にする

個人的に興味深いと感じることとして、周囲にいるプレイヤーの内アクションゲームとしての側面をより楽しんでいる人物ほどアバターである褪せ人の見た目にこだわっています。自分はテキストから竜に関連するものを優先して使う傾向こそあるものの、必要に応じて使用する武器と祈祷は適宜切り替えていました。一方、アクションが好きな知り合いたちは鴉山シリーズや黒き刃シリーズのような露出の少ない黒装束で統一したり、ある程度属性不利な相手にもある程度の性能が整っていればよいとして坩堝一式装備で臨んだりとこだわってプレイしていました。こだわって縛りを入れるから強くなるのか、上達が早いがゆえに縛りを入れても問題にならないのかはさておき、上達の速さと相関くらいはありそうな気がします。

以上の内容から、エネミーの外見に持たせる多様性よりもプレイヤーのアバター外見により重きを置く方がよいのかもしれません。また、外見については多様である方がよいだろうと考えられる一方、アバターの耐久力・火力に与えるプラスの影響は重要ではない気もします。

アクション重視のプレイヤーほどフレーバーテキストやアバター以外の美術・音楽要素に興味がないのでその辺にコスト割かなくていい

前項と繋がる話なのですが、周囲にいるプレイヤーの内アクション要素をより重視している人物ほどフレーバーテキストに記された背景情報やプレイヤーのアバターを除いた美術・音楽に然程興味を持っていません。黄金律に愛されずとも黄金律を愛したモーゴットの気高さや愛馬と駆けるために重力を操ったラダーンの人情深さに自分は心を打たれました。SNSでの反応を見た時にも、ラダーンを称える声や全盛期状態との対決を望む声は度々目にしました。対照的に、マレニアについてはやや批判的な反応を見ることが多かったように感じます。筆者がマレニアの精神性をあまり好んでいないことが無意識に印象を偏らせている可能性は否定できませんが、それでも人格面で称える声はあまり記憶にないため評価が高いとは考え難いように思います。しかし、アクションを重視している人物たちはラダーンについて全盛期の再現を望んではいませんでしたし、マレニアの人格面に悪印象を持つ様子はありませんでした。ラダーンについては「お祭り感あって楽しいよね」程度の反応でしたし、マレニアについても「楽しくていいボスだよね」程度の反応でしたアクションとして楽しければ、それ以外に長所や瑕疵があっても気に留めていないのだろうと思います

レベリング重視の身からしてもドラゴン・樹霊・害獣のブレスとかバジリスク・ミミズ顔の即死霧は不快なのでオミットでいい、アクションでやる意味は皆無

自分がプレーする上で楽しむことが難しかった要素として、ドラゴンなどのブレス攻撃やバジリスクなどが用いる即死の状態異常があります。ブレス系攻撃は範囲・持続に優れており、被弾した際に長時間に渡って行動を拘束されるため回避困難かつやることのない時間が長くなる印象があります。古竜やファルム・アズラの骸骨が用いるような徒歩でも回避が可能なものはまだよいのですが、飛竜が用いるような徒歩での回避が困難なものは選択肢が一気に絞られるためあまり良い印象がありません。こうしたブレスを用いる敵の他の行動がゆったりとしたものであることも、「ブレスなどの範囲攻撃しか取り柄のない敵」というあまり良いものではない印象を後押ししているように思います。また、即死の状態異常も楽しく感じることはありませんでした。毒や腐敗などのスリップダメージについては、回復量を増やしつつ敵に対処するというある種の火事場を演出する点で有効なものに感じることはありました。

一方、死の状態異常は蓄積が死と等価であるため攻撃範囲に足を踏み入れないようにすることがほぼ唯一の対処となります。攻撃範囲が敵の周囲にある場合は、単純に接近できないことになります。ゲージの蓄積を見つつ苔薬で対処できれば多少良かったように思いますが、低レベル帯では苔薬を使う前に蓄積が終了して死亡しますし高レベル帯であれば蓄積前に火力で押すのが対処法としてわかりやすくなるため苔薬を用いることはありませんでした。総じて、存在することによる負の面は認識しやすいものの正の面を認識することは困難な印象です。

戦闘を忌避させる強い意図のない限り、こうした攻撃手段を有する敵は不要であるように感じました。

吹き飛び付きとか高火力の遠距離攻撃をこっちの射程外から撃ってくんのは不快なのでほどほどにしとけ

この項目については純粋に個人的な感想になりますが、大弓やバリスタなどの吹き飛び効果がついている攻撃をアバターの射程外から放ってくる敵が出現するステージは攻略に積極的になれませんでした。仮に2週目以後の周回をする際はおそらく当該のステージは手を付けません。回避に喜びを感じる方もいらっしゃるのでしょうが、間口を広げることを意図する場合は対処法を複数用意しておく方が良いように感じました。

レベリング重視プレイヤーの視点からするとドラゴン系ボスはもっと強くていいし、そもそも戦えなくても動いてれば個人的に満足

エルデンリング全体を通して感じた印象として、ドラゴンが見た目より弱いというものがあります。単純に動作が緩慢で、ブレスや雷撃などの範囲攻撃こそあるものの状態異常抜きでは人型エネミーと火力面で大差がないためただ体力が多いだけに感じました。低レベル帯であれば基本的にほとんどの大型MOBやボス敵の攻撃は即死火力であることを鑑みると火力くらいはもう少し高くても良いように思います。個人的には、初代ダークソウルに存在した石の古竜よろしくイモータルオブジェクトとしてマップに鎮座しているだけでも満足であるためわざわざ敵として出現させなくてもよいのではないでしょうか。

デラシネみたいなアクション以外の要素が強いゲームほどサントラ欲しいので協同開発してくれ

筆者がエルデンリングを購入した主目的は、音楽や美術を楽しむことでした。実際、筆者はサウンドトラック・デジタルアートブック付きのバージョンをsteamで購入しました。また、ゲーム本編について未プレーであるBloodborneについてもApple music(旧itunes)でサウンドトラック全編を購入し、日常的に拝聴しています。一方、SEKIROやダークソウルシリーズについてはゲーム本編の数量限定版特典として少数が販売されたのみで中古品を購入する以外で楽曲購入のできない状態です。個人的には、過去作や今後発売する作品について楽曲購入ができると大変うれしく思います。エルデンリングとBloodborneがそれぞれ大手ゲームパブリッシャーとの共同開発であることから共同開発がサウンドトラック販売の条件と見受けられるため、今後共同開発作品が増えることに期待することとします。

レベリングや防具の性能を重視するプレイヤーとしてはそういうゲームとしてならCRPGやりゃいいし美術・音楽のファンとしては見れれば満足なのでレベリング要素とかカット率オミットしていいのでビューモードくれ

この項目についても個人的な願望になりますが、ビューモードの追加があると大変助かります。少なくとも筆者について言えば、ゲーム内の風景を観ることや音楽・効果音を聴くことに楽しさを感じており、強敵と対決することについては然程楽しさを感じておりません。本作品については手を尽くして全ステージ攻略することができましたが、それでもMOBを一掃するまで時間をかけて観察することが難しい場所やボス攻略後まで進入不可能な場所については観察が難しく歯がゆく感じたことがありました。新規セーブデータ作成不可・ゲーム内報酬入手不可などの条件がついた上で視点移動以外の操作不可という形であっても、ビューモードのようなものが登場すると個人的には嬉しく思います。

あとがき

もうすぐDLCが来るってことでいい加減書き切ろうと思って書きました。
DLCは終盤相当の難易度らしいので購入は様子見します。またマレニアみたいなリゲイン付きが来たらたまったもんじゃないですからね。itunesにサントラ来なさそうでsteamにサントラ付きが出るのであればサントラ目当てで買おうかな。