浅倉美香です。


昔々の記憶をふと思い出したのですが、
まだ私が18歳とか19歳の頃に
よく通っていた場所のこと。


それはガネーシュ というカフェでした。
店内にはマントラがかかり、お香の匂いに包まれ、
手作りのケーキ、カレーやチャイ。
ガネーシュ という名前の通り、
ガネーシュ の置物や仏像。
古びた壁と銀色の食器。


表現者の卵が集うようなカフェでね、
そこには【自由帳】のようなものが
あったのです。


みんな、思い思いにそこに色々書いていました。
絵で表現する人、文字で表現する人。
誰かの絵に文字を加える人。
誰かの文字に絵を加える人。


ひとりで仕上げたものより遥かに広がっていき
そのノートには夢のかけらが集まり
なんだかわからないくらいに
大きなパワーを持っていました。


私がまだまだ将来が見えず、迷い
夢や目標、やる気が持てず
ぼんやりと靄がかった未来を
見ていた頃。


当時、私は美術を愛していたし、
絵を描くことが大好きでした。
両親の仕事関係もあり
依頼をうけて、作詞もしていました。
それが発売され、作品となることは
嬉しくもあったんたけど。。。


自分が表現するのは大好きだったけど
どれが本当の私の世界なのか
わからずにいたのです。
【私の表現の世界はこれ!】みたいな
枠が欲しかったし、
それがないといけないような気がしていました。


そこの自由帳に私はたくさんの
絵を描き、詩を書き、
何かを表現したいのに
自分の確立された世界がなくて
なぜか、周りに笑われるような気がして
見えない勝手な幻を恐れて
踏みとどまっていたのです。


オトナになり、そこにどうしても行きたくて
行ってみたけれど、もうそのお店はなくなって
いました。


今も思い出し、行きたいなぁって思います。


そんなことを昨日ふと思い出しました。


そこの自由帳にぶつけ、残した絵や言葉は
全く覚えていないけれど
会ったこともない、ノートを介してのみ
交流する夢を持った人たちにもらった
勇気は覚えています。


表現するってことを渇望し、
もがいていた頃。


自分らしく表現することを楽しむ今。


もっと形に、もっと言葉に、もっと空気に
していきたい。


今、あの自由帳があったなら、
一体、何を描き、書くだろう。