●「ゲームについて思うことDX」
「桜井政博のゲームについて思うことDX」読了。
内容は、ファミ通に連載されていたゲーム系コラムをまとめたもの。
書かれていることは本当にすばらしいが、1巻、2巻ときて、3巻が「DX」とは(笑)
1,2に比べると分厚いし、DXという表現にも納得ではあるんだけど、
1→2→DXという流れはちょっとわかりにくい(==;
いまからそろえよう、という人がいたら困ったりしないのかなー。
もっとも、前の巻から時間が相当に経ってるから、
そっちのほうが営業面でいいのかな。
と、いうわけで、今日はここから、いくつか考えさせられた部分をピックアップしてみたいと思います。
○「伝える努力」 p8 p12
"速報スマブラ拳!"と"『メテオス』公式サイト"はゲーム開発と同時進行していたものであり、これがまたなかなかたいへん。開発中はかなり忙しいですからね! ゲーム製作の合間を縫いながら更新を続けるわけです。マスターアップ後にも更新は続くので、旅行などの休養をすることもできず、いろいろな負担もそこそこ高いのです。
「ほかの人に任せるのが役割分担ってものじゃん!」、「そのエネルギーをほかに割り振ればゲーム自体のクオリティーがよりよくなるのでは?」。うーん。まぁ理屈で言えば正論なのですけどね。だけど、ホームページも企画なので。これもゲーム製作の意図のうちなのです。
開発が「広報」にも関わるべきか、という問題も含めて、非常に悩ましい話題だったりします。
実際、職人肌な開発者ほど、広報に対して、「それは自分の仕事ではない」と
すごい無関心だったりするんですよねえ……。
気持ちはすごいわかるんですけど、本当にそれでいいのか? と。
いや、ひとのことばかりでなく、ワタシ自身も、こと広報となると、
知識は圧倒的に不足してます。
もちろん、理想形は、開発は開発に全力、広報は広報に全力、
という職場を作り上げることだ、とも思うんですけど、
現実にはそんなにうまくいかないわけでして……。
つい最近も、広報がいまひとつうまく機能してないように見えるので、
開発側から助ける工夫が出来ないか、と
そんなことを考えたことがあったんですが、
まあ、上のような反対をうけまして。
こういうとき、はたしてどうするのが正しいのか、難しい問題です。
開発が広報を助けられるような内容は、はたしてどれぐらいあるのか?
そんなことをするより、開発に力を注ぐべきではないのか?
……個人的に、ワタシの好きなゲームは、
開発者が全面に出て広報をやってるゲームが多いような気がしてます。
スマブラしかり、逆転裁判しかり。
開発に専念したいなら、開発に専念できる環境をつくるべし、
ってことでもあるんですけどねえ……。
○「いやな評論」 p40
アクション映画に対して、アクションはすごいけど、ストーリーはぜんぜんダメっていう評論のしたかは、ある意味"求められていないものを求める姿勢"だと思うんです。
アクション映画はアクションがカッコよければそれでいいと思うんです。そのうえでストーリーもよくしなくちゃと言ってクドクドと盛り込んでしまったら、その映画が目指す"見どころ"を表現する枠がどんどん減っていくわけですから。
つい最近、ノンゲーム系にストーリーがいるのか? という部分で、
似たようなことを書きましたね。
何をつくるにしても、予算や期間、人的資源の上限は定められているわけで、
その中でよりよいものを作ろうと思ったら、作業の対象をしぼり、
注力する部分を絞ることも必要になる、というハナシです。
とはいえ、個人的には、映画を見たら、
普通、ストーリーで語っちゃうよなあ……と思わないわけでもなくて。
前にあの文章を書いたときと同様、自分の感じる部分と、
立場としての意見のズレを思いおこされる内容です。
ついでに、同じ文に、
「いちばんよかった作品を最高点にして、
減点法でひいていく評論は見ていられない」という言葉があるんですけど。
現在の、マリオクラブのプレイ後アンケートの点数ってこれなんですよね……。
「これまで一番満足したゲームソフトを100点とすると、
このソフトは何点くらいの満足度でしたか? 」って。
評価としてはわかりやすい点数方法なんですが、正直、 ワタシも、
この質問見て「うっ」とうなった記憶があります。
「このゲームは結構よかった」というゲームでも、
この聞かれ方だと、いろいろ比較して、高得点がつけられない、という……。
まあ、それはともかく、
いろんなものを見る立場としては、いいところを見て評価したい。
でも、ユーザーは、普通、全部みて、減点法で評価しちゃうものだし、
自分も普通に遊んでたらそう思うだろう、と。
この辺、両方把握して、なるべくいろんな視点からものを見れるようにしたいものです。
他にも考えさせられる文章はたくさんあったけど、
とりあえずこのあたりで。
個人的には、「ゲーム」を考える上では必読の本だと思ってます。
ゆったり楽しみたいだけ、ならスルーしていいとも思いますけども(笑)