ニコニコ動画で人気の、「友人マリオ 」が完結だとか。
作者は卒業してゲーム学校にいくとのことで、
とりあえず、おめでというというべきなのだろう。


……トラックバック先 でもふれられているが、
ワタシも、この作者には、ゲーム作りの才能があると思う。


プレイヤーが、その面をプレイしたときにどう思うか、
どうプレイしようとするか、どうやれば裏をかけるか、
という点について、相当な洞察力がある。
動画を見ている視聴者を意識して、「魅せる」ステージを作る力がある。

これは、決してカンタンじゃない。

「魅せるプレイ」も難しいが、「魅せるステージ作り」もまた難しい。


これは、分類するなら、レベルデザインの能力だ。


「レベルデザイナー」ってのは、
近年注目されているゲーム企画職の一種で、
要するに、ゲームの「面」を作る人だ。

こんな本もある。



あ、本はオススメじゃないからね。念のため。


すでに、キャラの能力や、アクションや、敵キャラが出来ていて、
あとは、ユーザーが遊ぶ「ステージ」を作ればいい、って
段になって登場し、それらを使って「面」を作る。
障害物を配置し、敵を配置し、報酬を配置する。


そういう仕事だ。


もちろん、昔からあった役割だが、
分業のキッチリした欧米のゲーム開発体型の中で、
「こういう役割」として命名された。
特に3Dゲームのステージと、
ゲーム性を設計する人を指して呼ぶことが多い。



これの上手い下手は、センスによるところが多い。


与えられた道具から、「どんな遊ばせ方ができるか?」を考え、
ユーザーを驚かすには、裏をかくには、喜ばすには、
どういう配置をすればいいのかを考え、ゲームを作る。


「イチから発想する」というのとは若干違う。


あるものから連想し、ステージを上手く組み立てる力だ。

ゲームデザインの基礎であり、一番ユーザーに近い部分であり、
ユーザーの心に一番近い場所、といっても過言ではないだろう。


「友人マリオ」の作者は、この方面に、相当な素質を持っていると思う。


あとは、コミュニケーション力と、その能力が難関ゲー専門でなければ(笑)、
ゲーム業界に来てもうまくやっていけるとも思う。



……で、ここまでなら、「ああ、よかったね」で終わるのだが。


問題は、やはり、進学先である。
これを聞いたとき、僕は、「ああ、もったいない……!」と思った。


トラックバック先 でも言ってるが、
やはり、ゲーム学校は、いまひとつよい評判を聞かないところなのだ。


さらにまずいことに、ゲーム業界の採用担当の人事だって、

そういう話ばかり耳にしている。

ゲーム学校卒、というのは、往々にして、「却って不利」という状況になってしまう。


就職試験できちんと能力を示せればいいが……
レベルデザインの能力は、僕が知る限り、一番「試験のやりようがない」部分だ。


企画や発想の能力なら企画書を見ればわかるかもしれない。
推進や進行の能力なら、コミュニケーション能力を計ればいい。
プログラム、CGは言うに及ばず。


だが、レベルデザインの能力は、そういう方法じゃ計れない。


現時点で、それを計っている会社を、僕は知らない。
その能力だけでは、現時点で、ゲーム業界に入るのは難しすぎる。


……無事に、彼が目指す道へ進めることを祈る。


願わくば、誰か、その能力を見抜ける採用担当がいますように。
願わくば、そのレベルデザインの能力を生かすだけの、他の才をもっていますように。

……願わくば、面白いゲームが、ひとつでも多く、世に生み出されますように。