http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/716916.html
うーん……。
とりあえず、上記記事について、ちょっと考えてみたい。
この記事を読んだら、当然、
「なら、DSで出せばいいじゃん?」と、考えることだろう。
実際、そういう意見も、下に並んでいる。
であれば、「なんでそうしないのか?」っていう問題も、
考えてみなくちゃならないだろう。
DSの市場を観察すれば、一見してわかる特徴が2つある。
・任天堂のゲームが売れている
・アイデア主導のゲームが有利
この2つだ。
いままのでゲームにくらべ、
発想や新規性に重きをおいたソフトが売れるようになっている。
「アイデア主導のゲーム」を、「ライトな層」に売るのが、
DSで売るための基本戦略といっていい。
だが、「アイデア主導のゲーム」を売るのは、
いったいどうすればいいのだろう?
「アイデア主導」「発想が勝負」という言葉で惑わされがちだが、
それを売るべき「ライト市場」は、
すでに任天堂の独占市場にあるのだ。
ここに割り込むには、それなりの手段がなければならない。
内容で勝負すればいい?
まあ、内容「だけ」で売れるなら、塊魂は初代から売れていただろうし、
逆転裁判も、1の数字はもっとよかっただろうね。
この2つは、いずれも、1の評判を受け、2である程度の
プロモーションを行ったから売れたモノ。
そう、ライト向けの市場を、ここまで任天堂が独占してしまった以上、
一定数以上売るには、広告に金をかけるしかない。
少なくとも、非ゲーマー層をターゲットにするなら、
プロモーションに金をかけなければ、勝負にならないのだ。
「脳を鍛える」や「Nintendogs」が、いかに新機軸のゲームであろうが、
あれだけのプロモーションにささえられ、広められた結果であることは間違いない(*1)。
「プロモーションに金をかけて、広く売る」のは、
DSで商品を売る上での1つの鉄則といっていい。
決して、販売一本あたりの利益が高いハードじゃないからね。DSは。
利益を出そうと思うなら、数売る方法を考えるほかない。
あるいは、「安く仕上げて手堅く稼ぐ」という方法もある。
要するに、開発費を安くおさえて、売る。
たとえば、「数独」や「テトリス」「ぷよぷよ」なんかは、
こういう手法にいいよね。
DS自体の普及台数がべらぼうだから、こういう売り方にはむいている。
「プロモーションに金をかける」か、
「安くしあげて手堅く稼ぐ」か。
これが基本的に、DSで売るための2大選択肢といっていいだろう。
そして、どちらを選んでも、「開発費はたいしてかけられない」。
では、これを中小のメーカーの場合で考えると、どうなるだろうか?
限られた予算を、なんとかプロモーションにまわさなきゃいけない。
すると、その分は、開発費を圧迫する。
開発費の圧迫、というのは、ゲームの作りこみに影響する。
ちゃんとしたゲームのつくりこみができなくなるのだ。
いままで、広告費を比較的かけずに作れた、
コアゲーマー向けの作品が、DSではなかなか動かないのが現状だ。
勢い、そういうゲームは減っていく。
結果として、そういう作品を主力にしていた、中堅の良作を作っていたメーカーが、
そのままでは生き残れなくなってしまっている……。
例として出ているのが「ファイナルファンタジー12」だから、
誤解しがちだけど、
困っているのは、「ゲーム性で勝負していた中小メーカー」。
「DS以外の市場が砂漠」っていう悲鳴は、そういうことだよね。
まあ、理想は、
「アイデア勝負や、新機能をいかした勝負はDSで」
「大作や、じっくりゲーム性を作りこんだゲームはほかのハードで」
ってなれば、よかったんでしょうね。
でも、実際には、泣いているのは、中小のメーカー。
アイデアで勝負しようにも、プロモーションに使う金がない。
旧来もっていたゲーム性を作りこんだ作品は売れなくなっている。
大作は、作っても売れない。
そういう「すみわけができない現状」ってのが問題なわけです。
それを差しての、「DS市場以外は砂漠みたいなもんですよ」 っていう
発言なんじゃないのかなあ、と思うわけです。
アイデア重視のゲームは、わたしももちろん好きですよ。
でも、RPGや大作ゲームもやりたいし、
このままいくと、PS、PS2時代に多かったタイプのゲームが、
どんどんなくなっていってしまうわけですよ。
いや、「減る」のは当然だと思うんですけどね。
現状では、ホント、名前のあるソフトしか残らず、
「大作の新作」なんてのが、ぜんぜん作られなくなってしまいそうな状況なわけです。
なんか、いろんなところで、大作系ゲームが、
諸悪の根源みたいにいわれてますけど、
そういうゲームが好きなひとも多かったんじゃないでしょうかね?
今おきていることは、
「旧来のゲームが好きだったひとたちを切り捨てようとしているられる」
って状態でもあったりするんですが。
ここで非難の声をあげてるひとたちは、
むしろ、切り捨てられる側にいるんじゃないのかなあ?
と思ったりなんかしてしまうわけです。
(*1) 類似のゲームは以前からあったわけだしね。
完成度の高さと、ハードの特性を生かした点、
そして、プロモーションとコミュニティ性の高さが、この2つの勝因。