よいゲームシステムとは何か。
過去のゲーム史を紐解くと、こんな言葉が出てくる。
「よりリアルで、より簡単なのが、よいシミュレーションゲームである」
これは、ボードゲームであるとか、テーブルトークであるとか、
そういうもののデザイン論として言われていたことだ。
リアルにある事象を、なるべく簡単なルールで再現したもの。
こういわれた理由は、ボードゲームやテーブルゲームの場合、
「ルールの複雑さ」がプレイアビリティ(プレイしやすさ)に直結するからだ。
ややこしいルール、複雑なルールは、とにかく「遊びにくい」。
遊んでもらえないゲームは、どんなによくても、いいシステムとはいえない。
このあたりは、コンピューターゲームにも共通の部分といえるだろう。
つまり、「プレイヤーの理解が容易であること」。
これは、最も重要なポイントだ。
続いて、「バランス調整が直感的にできる」こと、があげられる。
これは、かつて、優秀な戦場シミュレーターゲームを作成した人に聞いた話だ。
そのゲーム中では、戦場が非常にリアルに再現されていた。
パラメータが多いワリに、扱っているデータに直感的なものが多かったため、
わかりやすく、面白かったそのゲームだが、
そのデザインは困難を極めたという。
相互に、非常に多くのパラメータが絡み合っていたために、
「A軍が強すぎる。若干調整しよう」というとき、どの数字をいじっても
しっくりくる結果が得られなかったり、強化したはずの修正が結果に
結びつかなかったりしたらしい。
アクションゲームやシューティングなどでは心配する必要はないが、
シミュレーション要素や、対戦要素をもったゲームでは、
特に気を配らなければならない点である。
すなわち、「どこをいじれば強化になり、どこをいじれば弱体になるのか」が
明白である必要があるのだ。
理解しやすく、調整しやすい。
たとえば、ゲームをプレイしているとき、
「こういう要素を追加したら、もっと面白くなるのに」と思うことが、あるだろう。
そのとき、「その要素を追加しなかった理由はなんだろう?」と
考えてみると、興味深いものもある。
技術的な事情や、コスト的な問題で削除されることもあるだろうし、
上の、どちらかにひっかかっていることもある。
一見、簡単そうな問題に見えて、
ゲームデザインの低コスト化のキモはここにある。
「基本システムは簡単でなければならない」と一言でいってしまってもいいだろう。
その上で、部分的には複雑化させたほうが
いい場所もあったりするのだが……。
その辺は、またこんど。