さて、本作では、乱数要素をなるべく排除し、
同じセッティング同士の戦闘では、同じ結果が出る、というのを
ひとつの方向性として掲げています。
そのほうが、セッティングを試行錯誤する面白さが際立つから、と
説明しましたが、このシステムをデザインする上で、
注意しなければならない要素がいくつかあります。
まず、「必勝の組み合わせがあってはならない」ということです。
たとえば、ある組み合わせで、他のどんな組み合わせにも勝ててしまう。
こういう設定になっていた場合、そこで、
対戦ゲームとしては終わってしまいます。
ネット上で、あっという間に公開され、みんながそれをマネし、
戦闘結果は「引き分け」だけになってしまうことでしょう。
どんな強力な組み合わせであっても、
他の組み合わせで敗れるようにしなければなりません。
「必勝のセッティング」はあってはならないのです。
このことは、設計段階から強く意識しておくことが必要です。
こういうデザインを行う場合、「三すくみ」を頭にいれておくと、便利です。
「三すくみ」は、いわゆる、じゃんけんの関係です。
パーはグーに勝ち、グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝つ……。
これに、さまざま要素を加え、応用していきます。
もちろん、工夫次第で、「パーにも優位に戦えるグー」もつくれますが、
「対グーに特化したパー」には勝てない……そんなあたりの
バランスをイメージするといいでしょう。
それによって、「必勝の存在」が作りにくい状態にできるはずです。
本作では、ロボットのタイプを大きく3つにわけて、この3すくみを成立させることにします。
・パワータイプ
・スピードタイプ
・アーマータイプ
それぞれ、攻撃・速度・防御に特化したタイプです。
3すくみの基本デザインは、以下のとおりとします。
○スピードタイプは、攻撃タイプの攻撃をうまくいなすことができますが、
アーマータイプの装甲には歯がたちません。
○パワータイプは、アーマータイプの装甲を打ち砕くことができますが、
スピードタイプには攻撃がなかなかあてられません。
○アーマータイプは、スピードタイプの攻撃をほぼ防ぐことができますが、
攻撃タイプの攻撃は防ぎきれません。
たとえば、前回あげた「罠をしかけて戦う」戦闘スタイルは、
スピードタイプの派生形ということになります。
「パーツ破壊」や「遠距離攻撃」はパワー・アーマーのどちらいも配置できそうです。
そうやって、大まかな分類を作り、パラメータを作ったときに相克の関係が作れるように
しておくと、「必勝のセッティング」が存在にくくなります。
上は、ロボットの基本フレームの例ですが、
こういう3すくみをたくさんつくり、それぞれ組み合わせるようにすると、
セッティングはさらに複雑に、奥深いものにできるでしょう。