前回は、「すれちがい対戦」を主眼とすることのデメリットを書きました。

実際のところ、この問題点への明確な解答は、まだ思いついていません。

(思いついていたら、こんなところで書かず、会社に出しますからね……笑)

ですが、対応策がないわけではないので、そのあたりをまとめつつ、

他の部分を煮詰めていくことにしましょう。

書いているうちに思いつくかもしれませんからね。


他の対応策とは、要するに、「wi-fiもOKと割り切ってしまう」ということです。

メインコンセプトからはちょっとはずれてしまうのが問題ですが、

要は、「wi-fiでもすれちがいでも面白い」対戦がデザインできればいいのです。

その上で、「wi-fiで定期的に大会を行う」「普段の戦闘はすれちがいを中心」と

すみわけができれば、最悪形にはできるでしょう。

実際、「wi-fiでも対戦できる」ことは、マイナス要素とはいえません。

デザイン上で、すれ違いが中心であるような設定ができれば、

かえって+とするようなこともできるでしょう。


そういうわけで、先に、戦闘や設定などの大事な部分をつめていくことにしましょう。

ひとまず、いい案が思いつくまでは、

「すれちがい”でも”対戦ができる!」ということをウリとして考えておきましょう。



さて、では、ゲームデザインのほうに戻ります。

対戦の内容は「事前に与えた命令どおりに動くモノ」を戦わせるもの、ということでした。

何を戦わせるか……は、いろいろ考えられます。

RPGのキャラクターのようなものでもいいですし、

昆虫ロボット軍隊のようなものでもかまいません。

モチーフはいろいろありそうです。


ここで、元のアイデアに振り返ってみましょう。

このゲームは、「すれ違ったとき、お互いにデータをやりとりして」対戦を行います。

このとき、あまり大量のデータをやりとりするわけにはいきません。

(すれ違い通信ですからね)

でも、だからといって、相手の情報がさっぱりわからないのでは、

対戦してもまったく面白くありません。

そのために、

「お互いのキャラクターデータだけを交換し、

 結果はフタをあけたとき、個々のDSで判定する」

というアイデアを第一回で提示しました。


しかし、このアイデアには、一つ問題があります。


たとえば、攻撃の命中/ハズレを、ランダムで解決することにしたとしましょう。

このとき、命中判定を乱数を使ってやった場合、

双方のDSで、戦闘の結果が異なる可能性が出てしまう可能性があるのです。

1対1で戦ったはずなのに、両方が勝っている可能性がある……?

さすがにこれはおかしいでしょう。

つまりは、「データ交換のあと、双方に同じ結果が得られるべき」なのです。

お互いのDSで、同じ戦闘の経緯・結果が展開されていなければなりません。


そうする方法は、いくつか方法は考えられますが、

たとえば、「乱数を使わない」という方法があります(*1)。

命中率75%の武器であれば、必ず、

事前に、命中→命中→ハズレ→命中のローテになることを

決めてしまうわけです。

こうすれば、キャラクターデータの交換だけで、

同じ展開・同じ結果を導くことができるでしょう。


キャラのデータが決まった瞬間、同じ結果が計算できる……。

これは、生き物同士の戦いでは、ちょっと考えにくいことです。

人間同士のバトルなら、ちょっとしたことで

戦況が揺れ動くことも珍しくはないと思います。


このシステムでいくなら、「ロボット同士のバトル」という形が納得しやすい形式でしょう。


ロボットであれば、「事前に命令を与える」というシステムも、

「事前に動きをプログラムしておく」という考えで説明できそうです。


いままであげた代表的な仕様、

「事前命令システム」

「すれちがい対戦システム」

いずれの点でも、キャラはロボットにしてやるのが都合がよさそうです。

「自律型ロボットに命令を与え戦わせるゲーム」。その方向で考えを進めてみましょう。

幸い、対戦のためにいろいろ装備(セッティング)をいじったりするのも、

ロボットなら普通に納得できることでしょう。


次回は、この「乱数要素なしの対戦」がもたらす

メリットとデメリットについて考えてみましょう。



(*1)同じ乱数種を保存すればいい、という解答もあります。これについは、またいずれ。