台湾華語では一言で「兜風」ですが、#ドライブの記事を拝見してみると、日本語ではバイクならツーリング、車ならドライブだということがわかりました。
翻訳という仕事をしている最大の幸せが、ここですね。
すべての経験が、仕事の養分になるので、何をしても時間の無駄ではありません。
とても、勉強になります!
実は日本語では細かく分けていますが、台湾ではそこまで分けないので、日本語から中国語に訳する時には、台湾ではそんな言葉がないから悩むことがあるあるです。(ここでは文語ですから、台湾華語ではなく、「中文」である中国語を使いますね)
だから、ここではツーリングとドライブを例としてこういう悩みの対策について紹介すると思いますね。
台湾ではバイクでも車でも、移動しているのも楽しむのを「兜風」と言います。
そして、ツーリングを「機車兜風」に、ドライブを「開車兜風」に訳することができますが、台湾では「文章のシンプルさ」を重視していて、分けなくても文章の意味に影響しないなら、わざと「機車兜風」や「開車兜風」に訳すると、台湾人読者の感覚では「うるさくて読みにくい」です。
でも、書籍の文字数は5万文字以上ですから、最終章に入ってから、実はツーリングとドライブに分けた理由をしっかり持っていることがわかったのもあるのですよ。
だから、「台湾はそこまで分けていない」だから、すぐにツーリングもドライブも「兜風」に訳するのが禁物。
個人的なやり方ですが、
台湾はそこまで分けていなくても、台湾人から見てはややうるさくて読みにくくても、まずはツーリングを「機車兜風」に、ドライブを「開車兜風」にしっかり分けます。
そして、
全書を翻訳して、実は分けなくても意味に影響しないことがわかったら、検査の階段で両方ともに「兜風」に修正します。
そして、著者さんがツーリングとドライブに分けて表現するのはしっかり意味をもっているなら、そのままにするのでしょう?
それも違います。
台湾人読者から見ては、「兜風」だけでいいのに、「機車兜風」や「開車兜風」に訳するのが1回、2回くらい我慢できますが、これ以上なら不自然です。
そして、訳文が不自然で読みにくいなら、大好きな著者やテーマじゃないなら、そのまま諦めるのがほとんどです。
だから、著者さんが伝えたい意味と、台湾人読者に対しての読みやすさのバランスを取りながら修正する必要がありますね。
例えば、
「ツーリングやドライブをしている時」など、「両方ともに〇〇」という意味であるときには、合わせて「兜風」。
同じ段落に複数の「ツーリング」があれば、最初だけは「騎車兜風」、あとはすべて「兜風」。そして、「ツーリング」が「ドライブ」に切り替える時には、最初のドライブを「開車兜風」、あとはすべて「兜風」。
あるいは、
「いつも夫と一緒にツーリングをしている」を「我總是和丈夫一起享受機車兜風」、「我和丈夫總是一起騎車兜風」、「我們總是夫妻一起享受機車旅行」のような感じで、違う表現法に切り替えながら訳するのです。
もちろん、まだまだ未熟な私が今までの経験、編集者さんとの討論で学んだ翻訳技術ですから、絶対にそうすべきなわけではありませんね。
むしろ、どんどん上達して、いつかこの記事を振り返る時には「あっ!下手だなぁ」って悩むほどに成長したいですね。