映画「リバーズ・エッジ」感想

はじめに

映画「リバーズ・エッジ」は、1996年に公開された日本映画。 原作は岡崎京子の同名漫画で、監督は緒方明、脚本は鄭義信が務めた。 主演は若手俳優陣で、当時19歳の木村拓哉が映画初主演を務めた。

ストーリー

舞台は東京近郊の団地。 高校生の山田一郎(木村拓哉)は、同級生のいじめを受けていた。やがて、山田は同じ高校に通う少女・中原ハルナ(中山美穂)と出会う。境遇に同情し、彼を助けようとする。

一方、ハルナの親友である井出雅美(安藤政信)は、山田に密かに想いを寄せていた。

そんな中、河原で女子高生の死体が発見される。 死体は、山田の同級生である遠藤ミドリ(江角マキコ)だった。 ミドリは、山田と関係を持っていたことが判明する。

ミドリの死をきっかけに、山田、ハルナ、雅美の関係は複雑に絡み合っていく。それぞれが恐ろしい闇と混乱が、次第に明らかになっていく。

感想

映画「リバーズ・エッジ」は、青春映画でありながら、サスペンス、ヒューマンドラマなどの要素も読まれた作品である。

まず、特筆すべきは、若手俳優陣の熱演である。 木村拓哉は、いじめを受ける少年の繊細な心を表現。 中山美穂は、自由奔放な少女の危うさを体現。充実した少年を熱演。それぞれが、自分の持ち味をしっかりと発揮している。

また、原作の世界観を忠実に再現した映像も印象的である。

ストーリーは、ミドリの死を軸に展開していく。誰がミドリを殺したのか?という謎解き要素も楽しめる。

しかし、この映画の本質は、短時間ではなく、登場人物たちの心の葛藤を描くことがある。

山田は、いじめという経験から、自己肯定感を失っている。ハルナは、家庭環境に問題を抱えていて、自分自身を見つめている。雅美は、山田への愛と友情の間で揺れ動いている。

それぞれが驚く闇と葛藤は、現代社会を生きる若者たちの姿と重なる。

映画のラストシーンは、見る人に様々な解釈を考える。希望を感じさせるラストとも言うし、絶望的なラストとも言う。

テーマ

映画「リバーズ・エッジ」は、青春、暴力、死、愛など、様々なテーマを扱っている。

特に印象的なのは、「死」というテーマである。

ミドリの死は、映画のストーリーを大きく動かす。そして、登場人物たちの心に深い傷を残す。

死は、誰にとっても避けられないものである。 しかし、死は一時的にネガティブなものではない。 死によって、人は初めて自分の生き方を振り返ることができる。

映画「リバーズ・エッジ」は、死を通して、生きることの意味を問いかけている。

映画「リバーズ・エッジ」は、公開当時から高い評価を得ている作品である。

第20回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞など、主要4部門を受賞。

また、海外でも高い評価を得ており、ロンドン国際映画祭やシッチェス映画祭など、数々の映画祭で上映されました。

おすすめポイント

  • 若手俳優陣の熱演
  • 原作の世界観を忠実に再現した映像
  • 謎解き要素も楽しめるストーリー
  • 登場人物たちの心の葛藤
  • 死を通して、生きることの意味を問いかけるテーマ

映画「リバーズ・エッジ」において、死は重要なテーマとして扱われています。

まず、とりあえずで女子高生の遠藤ミドリが死体で発見されるシーンから映画は始まります。 ミドリの死は、物語の軸となり、登場人物たちの運命を大きく動かしていきます

ミドリの死因は、明確には示されていない。しかし、山田、ハルナ、雅美の三人が、それぞれミドリの現状と関わっていることが示唆されている。

山田は、ミドリと関係を持っていたことが現実になります。ハルナは、ミドリの死体を見つけた第一人者です。雅美は、ミドリに暴力を振るっていたことが過去にありました。

このように、ミドリの死は、三人の心に深い影を落とします。

映画では、ミドリの死以外にも、死を想起させるシーンがいくつかあります。

例えば、山田が飼っていた猫が死んでしまうシーンや、ハルナの父親が自殺してしまうシーンなどが挙げられます。

これらのシーンは、死が日常に隣り合うものであることを示唆しています。

また、映画のラストシーンでは、ハルナが川に飛び込むシーンが描かれています。

このシーンは、ハルナの死を暗示しているとも解釈できます。

このように、映画『リバーズ・エッジ』では、死が様々な姿で描かれています。

これらの描写は、死は一時的に否定的なものではないことを示唆しているように思えます。

死によって、人は初めて自分の生き方を振り返ることができる。

映画「リバーズ・エッジ」は、死を通して、生きることの意味を問いかけている作品だと言えます。

登場人物たちの心の葛藤

映画『リバーズ・エッジ』の登場人物たちは、それぞれ深い心の葛藤を抱えています。

山田一郎

山田は、いじめという経験から、自己肯定感を抱いています。

そのため、他者に依存したり、自己破壊的な行動をとったりしてしまう。

ミドリとの関係も、山田の心の葛藤を象徴していると言うでしょう。

中原ハルナ

ハルナは、家庭環境に問題があるので、自分自身を見ていません。

そのため、山田や雅美に依存してしまいます。

ミドリの死は、ハルナの心に大きな傷を残します。

井出雅美

雅美は、山田への愛と友情の間で揺れ動く。

山田への愛情は、雅美を狂気に追い込んでいく。

ミドリの死は、雅美の狂気をさらに加速させる。

映画のラストシーン

映画のラストシーンは、ハルナが川に飛び込むシーンで締めくられます。

このシーンは、様々な解釈が可能です。

  • ハルナは、ミドリの死や、山田との関係に絶望し、自殺してしまう。
  • ハルナは、死を通して、新しい自分を見つけようとします。
  • ハルナは、死を恐れることなく、自由に生きようとします。

どの解釈が正しいかは、見る人によって異なります。

しかし、なんとなく、このラストシーンは、見る人に強い印象を抱くことは間違いありません。

まとめ

映画「リバーズ・エッジ」は、青春映画の枠を超えた、深いメッセージ性を持つ作品である。

死と向き合い、生きることの意味を問う映画を観たい人にオススメの作品である。