ロマンティックエロティックグロリアス -86ページ目

菫を貼り付けにした力を、引っ込めることもできずにいた。

菫もどうしてこんなことになったのか分からず混乱してる。

俺の方を振り返って理由を聞きたがってる。

・・・説明できない。力も戻せない。

いっそここから消えて欲しい。なかったことにしたかった。でももう遅い。

どうにもできない。この時間がすごく長い。気が遠くなる。

どうしようどうしよう・・・


『落ち着きなさい』


緑子姉ちゃんの心配そうな翡翠の瞳が、俺を正気付かせた。


『あ・・・』


姉ちゃんの背後には、ユカリ姉ちゃんに抱きしめられた菫の長い髪が見える。


服を着てる。


自分達の部屋だった。


おそらく緑子姉ちゃんはすぐに事態に気付いて、俺たちを部屋に戻した。


ああしていた時間は思ったより短かったのかもしれない。


ちょっとほっとした。



でも、もう一度見たら、菫がこちらを向くような気がして、逃げ出したくなった。足が動いた。

そしたら余計落ち着かなくなって、部屋を飛び出した。海の回廊をやみくもに走る。


心の壁に苦い錆のような味がべっとり貼り付いてる感じがする。



菫を拒絶した。



消えて欲しいとすら願った。



受け入れられない。


小さな俺。


半端な俺。


駄目な俺。



たかが裸見られんのがイヤだってだけで力使って――サイテーだ。自分だけが大事なんだ。


こんな自分、ちぎって棄てたい・・・