ロマンティックエロティックグロリアス -84ページ目

息が切れて立ち止まる。蓮湖の見える大窓の前・・・

自分の荒い息づかいがわずらわしい。


ハァハァ言うな、鬱陶しい!


一度渇いた唾を飲み込んで、ふと目を上げると人が立ってる。


『・・・』


立ってたのは雲様。なんだか辛そうだ。

でも人の気持ちを思い遣る余裕なんて俺にはなかった。


『何だよ。用なんかねえぞ』


そして用があるならさっさと済ませていなくなれ。


でも雲様はなかなか言葉を口にしない。俺は苛立った。


「用がないならあっち行けよ!」


そう言おうと息を吸い込んだ時、


『あなたにはガードがかかっている』


やっとしゃべった。『だからあたし以外の誰にもあなたは読めない』


『――』


それを伝えに来たのか?


『だが菫ちゃんには、あなたの強い気持ちは伝わる。だから落ち着きなさい』


強い気持ちって――


雲様は肯定するように黙って俺を見つめた。


『強い気持ちだけ?抑えらんないような強い気持ちだけ・・・?』


ということは・・・


『ダメだ・・・逆にしてくれよ・・・こんな気持ちは伝えたくないんだよ、絶対見せたくないんだよどうにかしろよ!』


雲様を揺すぶってYESを引き出そうとしたけど動かせるのは体だけだ・・・辛そうな雲様の顔。


『・・・あなたが主で菫ちゃんは従だ。あなたの川が決壊すれば菫ちゃんに流れ込む・・・守護とは、そういうものなんだよ』


そんな――


知らなかった・・・

そんなこと誰も――


『どうにもならないの・・・』


止めようがないんだ、どうしようも・・・


『・・・菫ちゃんが大人になって、聞きたくないとはっきり思えば、あるいは』

『あるいは?・・・どういうことだよ』


雲様はひとつ息をつく。


『菫ちゃんはまだ幼い。能力は未知数だ。瞳から推察するのみだよ』


俺は・・・ 俺は、一番そうしたくない相手に、一番ひどい気持ちを味合わせ続ける・・・そうなのか?


あんな小さい菫に、ぐちゃぐちゃな感情をぶつけ続けるのか?


ずっと?



窓の外は、あの日見た美しい宵。