『いいかしら?』
と、人差し指を自分のおでこにかかったヴェールにあてて、焔様は言った。
『雲様はワタクシよりも年若でいらっしゃるけれど、ワタクシより上の第二位の守護。そして、松宮様は彼女の主よね?こうして来る前に予想していましたけれど、その妹宮である梅宮様も、その守護のアナタも、雲様のガードがかかってる。どう考えても、ワタクシの出番ではなくってよ?』
そうか。
松宮様は、師範を慮って焔様にお願いしたんだ。
師範が、まだ、この世の終りみたいに泣いているから。
とても、弱弱しくて、立っているのもやっとみたいな、そんなふうに。
『・・・申し訳ございません。雲はいま、病に臥せっていますので焔様におすがりしようと思いましたの』
『嘘はいけないワ』
間髪入れず、力強くそう返されて、緑子様は口をつぐんだ。
焔様は緑子様のおとがいに、ロザリオをかけた左手をかけて、自分の方へ向かせ目を覗き込んだ。
『雲様を甘やかさないで、ここへお呼びなさいな』
焔様は、師範のことを知ってるの・・・?