降りていって返事をするのも、どういう顔していいか分からなかった。
ここから見える菫は、ほんとうに小さい。
広がる髪がなければ誰だか分からないくらいに。
『それから、これ、石の分の、お返し・・・去年お父様からもらったアイオライトなの。何にすればいいか分からなかったから・・・ここに置くね』
そう言ってリボンをかけた箱を足元に置いた。
もう一つ袋を置く。
『これは、おわび。お菓子だから、食べてね』
そう言ってこちらを窺う。俺の反応を視ている。
守護の子って、どれぐらい読めるんだろう・・・?
そう思って見ていたら、突然『うっ・・・』っと言って、菫が泣き顔になった。そのまま『うっうっ・・・』と泣き出す――
ぽろぽろとこぼれ続ける涙――分からないなんてうそだ・・・どんなに遠くても、俺には菫がどんな顔をしているかわかる――泣かないでくれよ・・・!
俺はいてもたってもいられなくなって、木を飛び降り菫のところへ走っていった。
『――ごめん』
涙でぐしゃぐしゃになって俺を見上げる。
簡単には涙は止まらない。でも菫はそのまま俺に言う。
『ごめんなさい。あんなに悲しい思いをさせてごめんなさい・・・!私、嬉しかったのに・・・とってもとっても、嬉しかったのに・・・!』
どうすれば泣き止むのか分からなかった。
足元を見ると、リボンをかけた箱と袋が見えた。
手に取ってみる。軽い。ぽんぽんと手で転がした。
『うん。これ、もらうよ』
照れくさかったのでもう一つの袋も手に取り、
『おおっ、うまそう!』
とか言って、中に入ってたケーキみたいなお菓子を食べた。
菫は俺を見て、やっと泣き止んだ。
良かった・・・
『でも、どうして瞳の石にしたの?』
『えっ?』
それは聞かないで欲しいな・・・
菫はちょっと恥ずかしげに言った。
『だって、まるでプロポーズみたいでしょ?』
ぼっ・・・!
自分の顔が音を立てて真っ赤になるのが分かった!
思わず顔を押さえたけど、菫も驚いて見てるし・・・じーっと見られて、ますます戻らなくなった。
そんな俺がおかしかったのか、菫は笑った。『ふふっ』って。