ふと背後に扉が開いて、背の高いエキゾチックな容貌の女性が現れた。浅黒い肌に長く縮れた黒髪を、ラピスラズリの髪飾りでまとめている。孔雀石の瞳が微笑んで、颯爽と歩み寄った。
『緑子!』
扉の気配で既に振り返っていた緑子様も、にっこりと笑う。
『雲・・・久しぶりね』
そう言って抱きしめた。雲と呼ばれた女性もぎゅっと抱きしめる。
『ほんとだよ、長かった!でも我慢したよ。大変だったね』
雲ということは、この女性が緑子様の守護だ。
私は初めて自分以外の守護を見た。
気配はつかめるけれど、何を考えているかなんてもちろん分からない。壁があるような感じがなんとなくする。その壁の色が、緑子様の色とおんなじような・・・そして、雲様の頭の辺りから電波のようななにかが四方八方にむけて放出されているように思えた。
『うん。ひとりにして悪かった。すまない』
雲様は笑って緑子様を見つめて、それから私を見た。
どきっとした。
『その子が菫だよ。弟子にしておくれ』
緑子様がそういうのを見もせずに雲様は私から目を離さない。
さっきから感じる電波のようなものが私の頭の奥まで入ってくるのがわかる・・・
『うん、わかった。菫ちゃん、あたしがお前の師範になるよ。雲だ。よろしくね』
雲様はそう言って右手を差し出した。