『お父様!!』
『菫!ははは、変わらないなこのお嬢さんは。会いたかったよ』
紅が開いてくれた扉の目の前にいたお父様に飛びついて首をぎゅうっと抱きしめた。お父様は抱っこしてくれて、しばらく私の髪に顔をくっつけて匂いを確かめるようにかいでいた。私もお父様の匂いを久しぶりにかいだ。お父様の匂い。
『昼には花も来るぞ。父様は会議とか参列しなければならない時以外はずっと一緒にいられる。夜も一緒に眠れるぞ』
『やった~!』
嬉しかった。当たり前のことが本当に嬉しかった。お父様とお母様と眠れるんだ。一緒にずっといられるんだ。いっぱいお話して、いっぱい抱っこしてもらって・・・
お父様はもう会議を済ませたところだった。ここは私たち家族に割り当てられた居室で、お父様が入れてくれたお茶を二人で飲んだ。
『華瑶苑はどうだ?主は良くしてくれるか?』
お父様は会うと必ず聞くことを、また聞いた。『うん。毎日楽しいよ』
それからもうひとつ。『修業はうまくいってるか?』
『師匠はだいじょうぶだって。即位式でなかなか時間取れなかったけど、基本的なことはできてるからだいじょうぶなんだって』
守護のことはまだよくわからない。だけど師匠がそう言ってるからだいじょうぶだって知ってる。
お父様は『そうか』とだけ言った。これもいつもと同じ。