晴は今、まだ守護の里にいる。
結びの儀式をするまでは、心で呼ぶことはできない。
でも、晶子には力がある。ただの天人にはできない方法――
ひとさしゆびとおやゆびで、軽くつまむように力を入れる。
見つめていると、小指の先ほどの水晶が現れる。
まるく美しく磨かれた水晶に、吐息を吹き掛ける。
ぼわん
たちまちボールのようなふわふわした、羽の生えた生き物になった!
『梟(ふくろう)、晴を呼んでいらっしゃい!長にもよく言ってね』
梟はホーと返事して、ぱたぱたと羽を動かす。まるっこくてあまり梟には見えない。
晶子は壁に飾られたアンティークな鏡の周囲に嵌め込まれた美しい玉の一つに指を触れた。すると、玉がラベンダーに輝き出し、扉が出現する。
梟はふわふわと飛びながら目の前に開かれた扉をくぐっていった。
夕闇がせまる守護の里の空を飛んで、梟は長の屋敷にたどり着く。翼を翻し降りたったと思うと、たちまち娘の姿になり、長の屋敷の門をたたく――。
