運命の人 山崎豊子 | 国内航空券【チケットカフェ】社長のあれこれ

運命の人 山崎豊子


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沖縄密約外務省機密漏洩事件(西山事件)をモデルにした、全四巻のかなり読み応えがある小説です。
西山事件についてはよく知らなかったので凄く面白かったし、考えさせられました。
西山事件は沖縄返還を巡る日米政府の密約という機密を、当時毎日新聞政治部キャップだった西山さんが野党国会議員に漏洩したと、西山さんが逮捕された事件です。
政府、外務省共に「密約は無かった」の一点張りで西山さんは有罪になるのですが、2002年に密約があったという文書が発見されます。
密約の文書の内容は福田赳夫が交わした文書で、それが発見されたとき皮肉にも当時官房長官だった息子である福田康夫がそれでも「密約はなかった」と言い張っておられたのが記憶に新しいかと思います・・・
自民党が下野して民主党政権になっても結局文書を破棄してしまったから調査ができないうんたらた、で西山さんは敗訴、結局政権変わっても政府の体質なんて変わらないんだなぁ・・・という感じです。
西山さんは上告、ということでこの事件のけじめはまだついていないようですが、本書では事件によって筆を折った西山さん・・・じゃなくて弓成が再び書きはじめるところまでの話です。

日本は事件があった当時の1971年から国は大して変わっていないのだなぁ、と思いました^^;
国民の知る権利、保身の政治家や外務省、ジャーナリズムと政治の癒着、沖縄問題等が浮き彫りにされており、その体質は今も現在進行系だなぁ、と。
大きな事件が起った際に下ネタスクープで、事件を矮小化させるマスコミの悪い習慣も変わってないし・・・
本書では関わった政治家、外務省の役人、マスコミ関係者等はすべて仮名ですが一字違いとかなので、政治家、マスコミ関係等は誰だか見当がつきます。
外務省関係者については不勉強なため分からなかったけど、調べたら分かりそうです。
なぜか大野伴睦とニクソンだけは実名のままの登場で、大野伴睦に至っては”ばんぼく”とふりがな付で何か意味があるんだろうかと思ったけど、多分あんまり深い意味はなさげでした 笑
これ、密約が当時バレちゃってたら、佐藤栄作・・・いや本書での佐倉総理のノーベル平和賞はなかったでしょう・・・ってかノーベル平和賞って一体何なんでしょうね><
そういうわけで小説とはいえ山崎豊子解釈のほぼノンフィクションのような感じで読んじゃいました。

読み手によってきっと思うこともそれぞれだと思いますが、きっとどんな人でも思うことが「山崎豊子スゲエ!」だと思います。
山崎豊子さんも毎日新聞出身の記者で、事件が起った当時はとっくに退社され作家活動をされていたようなんですが、古巣で起った事件に関心を強く持っておられたことが、巻末の膨大なインタビューの数々と参考文献で分かりました・・・
御歳87歳、この取材量と創作意欲は本当に尊敬しちゃいます。
一体何冊この方の著書を読んできたのかもう全然分からないんですが、きっかけは上川隆也さんと仲代達也さんのドラマ「大地の子」を見て感動してから(多分私が見たのは年末の再放送でした。)「大地の子」から読み始めたことを覚えています。

ドラマはまだ見てませんが、大河ドラマ並の豪華キャストですごいですね。
NHKの「坂の上の雲」を見ていたので、「兄嫁が嫁なのか。。。」って感じもしつつ・・・
「坂の上の雲」では本木雅弘さんの兄が阿部寛さんで、阿部さんの嫁が松たかこさんでした。