旅行鞄にはなびら 伊集院静
旅行が好きなので「どこか行きたいな・・・」と思った時になんとなく買ってみた一冊です。
この本はフランス、イタリア、スペインの名画とそこに咲く花のことを綴った旅行エッセイでした。
名画を描いた画家のバックグラウンドを巡る旅が主となります。
私も伊集院氏が書かれている名画たちの幾つかは、私もこの目で見てきているはずなんですよね・・・
嘆かわしいことに何の勉強もしていかなくて、せっかくヨーロッパまで来たことだし美術館でも見ておきますか、みたいなノリで名画を見て「これはすげー!」「ん?これってすげーの?」「これなら俺でも書けそうじゃね?」とかめちゃめちゃ名画に対して失礼な感じだったのではないかと思います・・・
見る前にこういう本を一冊読んでおけばよかったと今更ながらに思います。
本書に出てこなかったんですが、凄く印象に残っている絵がスペインのプラド美術館で見たヒエロニムス・ボスという画家の「快楽の園」という作品なんですが、この時の旅のお供に宮本輝の「快楽の園」という小説を持って行ったので、作品に対しての予備知識があったからだと思うんですよね・・・
あとヨーロッパの古い絵画になると宗教画が多く、キリスト教の知識がないと楽しめないところがあるので、漫画の聖書を読んでおいて良かった~と思いました(笑)
話がそれましたが、伊集院氏は名画が描かれた画家のバックグラウンドを巡る旅をして、名画の蘊蓄ではなく旅を通して氏の目に映る名画の感想、という感じなので、絵については美術の授業程度の知識しかない私にもとても興味深かったです。
伊集院氏は「ゴッホの絵に狂気を見出すことをしてはならない。」「ゴッホの作品を見てきて、彼の絵に精神の豊かさを見た。狂気の人間にあの絵は描けないと思った。ゴッホは狂気じゃなかったと思った。」みたいな事を書かれていました。
これはあくまでも伊集院氏が絵を見ての感想です。
「うん?この話どこかで聞いたことがあるぞ?」と思いました・・・奥さんです・・・しかし彼女の推理はもっと奇抜(?)でした・・・何の絵を見て言った感想なのかは忘れてしまったのですが
「狂気の人が書く絵じゃないよね・・・狂気に対する憧れがあって狂気を演じていただけなんじゃない?」
とか昔言ってました-0-;
ま、私の感想はもっと酷かったですけどね・・・
「このひまわり枯れてるじゃん!」でした・・・若気の至りということでご勘弁を><
なんか本の感想になってないのですが、伊集院氏が現地で描かれた絵も散りばめられていて、なかなか面白かったです。
自分がいつも読む系統の旅行エッセイよりも優雅な感じでした。
因みに私の旅行エッセイの2TOPは、沢木耕太郎の「深夜特急」と小林 紀晴の「アジアン・ジャパニーズ」です。
読んでいてワクワクするのは貧乏旅行のエッセイだけど、たまには優雅な旅行エッセイも気持が豊かになる感じがしていいもんです。
それでは皆様良い三連休を♪
